※本記事にはPRを含む場合があります。

こんにちは。「脱会社員」脱サラを応援し続けるブログ、運営者の「なかびー」です。

告知用のページ、画像、紙チラシをそろえるとき、それぞれの作業日数を足しただけでは「いつ告知を始められるか」は分かりません。画像の確認と原稿作成は並べて進められても、チラシの版下は両方がそろうまで作れないからです。日程を決めるのは、作業の長さと、次へ進むための順番の組合せです。

この記事では、小さな展示企画の告知準備を題材に、10作業の先行表からクリティカルパスを求めます。同じ表を使って、余裕日数を二重に使う誤り、短縮しても終了日が変わらない理由、担当者が一人の場合の順番、実績を踏まえた残り日程まで確かめます。架空の演習であり、実在案件の実績や、納期・受注を保証するものではありません。

共通の作業日で数え、前の作業が終わればすぐ次を始められる関係(FS・ラグ0)と、並行作業に十分な人員を置く今回の基準では、最短は12作業日、クリティカルパスはA→B→F→H→I→Jです。DとFを同じ一人が担当する場合の最短13作業日とは、条件を分けて読みます。

10作業を先行表にして、計算の前提をそろえる

原稿・画像・ページ・チラシの資料を整理し、作業日数と先行関係の前提をそろえる学習用の概念画像。

工数ではなく、開始から終了までの作業日数を置く

今回のゴールは、ページと配布物を用意し、告知開始前の最終確認を終えることです。下の表では、各作業をA〜Jの記号で示しました。「先行作業」は、その行の作業を始める前に終わっていなければならない作業です。まず作業名と先行作業を対応させてから、日数を読みます。

表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。

記号作業日数先行作業
A告知条件の確定1なし
B申込案内の原稿作成4A
C告知画像の作成2A
D申込ページの設定3B
E告知画像の確認1C
F紙チラシの版下作成2BとE
Gページと掲載画像の確認2DとE
H印刷完了までの待ち3F
I配布物の受領・準備1H
J告知開始前の最終確認1GとI

ここでの日数は、すべて同じカレンダーで数える架空の作業日です。Hの3日は、印刷を待っている間に担当者が3日間働き続けるという意味ではありません。それでも、配布物がまだ届かない間にIへ進むことはできないため、日程上は3日を置きます。したがって、表の日数を全部足した20を、そのまま人日と呼ぶこともできません。

計算では、前の作業が終わった境界から次を始められ、間に別の待ち時間はないものとします。これを「終了後に開始する関係、ラグ0」と呼びます。さらに、いったん始めた作業は途中で止めず、表の日数で終わると仮定します。担当者数は第5章だけで条件を変え、それ以外では並行作業に必要な人員が確保されているものとします。

この置き方は、実際の印刷会社が必ず3日で対応するという主張ではありません。演習の入力を固定するための条件です。実務で日数が未確認なら、この表の数字を流用せず、確認済みの条件と未確定の条件を分けてから計算してください。依頼された完成物そのものが定まっていない場合は、先にWBSで成果物の範囲を整理する方法を確認すると、日程へ載せる対象をそろえやすくなります。

「両方を待つ」合流を三つ見つける

Fは原稿Bと画像確認Eの両方を待ちます。原稿だけが完成しても、確認済みの画像がなければ、今回の条件では版下を始められません。Gも同じく、ページ設定Dと画像確認Eがそろうことが必要です。最後のJは、ページ側のGと配布物側のIがそろってから行います。「どちらか一方が終わればよい」と読むと、作れる前提がないのに作業を始める日程になります。

一方、EはFにもGにも使われますが、画像確認を二度行う設定ではありません。一つのEの完了が、二つの後続作業の条件を満たします。表を矢印に直すならEからFとGへ線を引き、Eの箱そのものは増やさないでください。後の経路表でEが複数行に登場するのも、同じ作業を別のつながりから追っているためです。

この表には、Bが終わるとDとFへ進める分岐もあります。原稿が完成したあとにページを作り、そのあと必ずチラシを作る、という順序にはしていません。両方ともBを待つことと、DがFを待つことは別の条件です。先行表にない順番をなんとなく追加すると、日数の計算が合っていても、解いている問題が変わってしまいます。

0から始まる「境界」と、何日目かを分ける

この記事の時刻は、開始から何作業日が経過したかを表す境界です。最初を0とし、Aは0から1までの1日間を使います。Aが終わる境界1で、BとCを始められます。「1日目にAを開始し、2日目にBを開始する」という通常の日数の言い方とは数字が一つずれるので、表では「日目」を使いません。

たとえばDの区間が5→8なら、差は3作業日です。作業日を1日目から並べる言い方では、6・7・8日目を使い終えたところに相当します。5日目から8日目までの4日間、と数えないようにしてください。前の作業の終了8と次の作業の開始8が同じでも、同じ一日を二重に使っているわけではなく、終了した瞬間に次へ移っています。

休日や印刷会社の営業日を含む実日付は、ここにはまだ入っていません。「完了12」という答えが出たあと、どのカレンダーの12作業日かを確かめて日付に変換します。途中だけ暦日へ替えると、FからH、HからIへ渡す時刻の意味がそろわなくなるため、計算中は一つの物差しを保ちます。

前から計算して、完了を決める経路を探す

原稿と確認済み画像の両方をそろえてから次へ進む、合流条件を表した学習用の概念画像。

合流では、遅い方の完了を採る

最も早く始められる時刻を最早開始ES、そこから作業日数を足した終了を最早終了EFと呼びます。開始点Aから、先行作業の答えがそろった行へ順番に進みます。アルファベット順に埋めること自体がルールではなく、先に必要な終了時刻が分かっていることが大切です。

BはAの終了1から4日を使って5に終わります。Cは同じ1から2日を使って3に終わり、その後のEは4に終わります。ここでFに到着すると、Bの終了は5、Eの終了は4です。画像が4でそろっても原稿がまだなので、Fの開始は5になります。二つの値のうち大きい方を採るのは、両方の完了条件を満たす最初の時刻だからです。

  • 最早開始ES=先行作業の最早終了EFの最大値
  • 最早終了EF=その作業の最早開始ES+所要日数

もしFの開始を小さい方の4にすると、Bが終わる1日前から版下を作ることになります。平均の4.5を使っても、まだ原稿の終了5に届いていません。二つの終了時刻を足して9にする必要もなく、4と5はすでに共通の開始点から測った時刻です。別々にかかった時間を順につなぐ場面ではないので、足し合わせず、条件を両方満たせる境界を選びます。

GではDの終了8とEの終了4を比べ、開始8を採ります。JではGの終了10とIの終了11を比べ、開始11です。合流でどちらを待つかが変わるため、どこでも「紙側を待つ」などと決めつけず、その場所の直前の値で判断します。全体を前進計算すると、次の表になります。

表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。

作業日数最早開始ES最早終了EF
A101
B415
C213
D358
E134
F257
G2810
H3710
I11011
J11112

Jは1日かかるため、11で始めて12で完了します。Iが11に終わったところを全体の完了とすると、最後の確認Jを落とした計算です。逆に、Jのあとへ表にない予備日を加えた数字は、この表の最早工期ではありません。予備日を設ける判断と、与えた作業から求める答えは分けておきます。

全4経路をたどって、12日を検算する

クリティカルパスは、開始から完了までつながる経路のうち、日数の合計が最も長い経路です。今回の条件では、その連鎖を途中で飛ばして先へ進めないため、全体を終えるまでに少なくともその日数が必要になります。作業を矢印でつないだネットワークを、AからJまでたどると次の4通りです。

表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。

経路日数の合計
A→B→D→G→J1+4+3+2+1=11
A→B→F→H→I→J1+4+2+3+1+1=12
A→C→E→F→H→I→J1+2+1+2+3+1+1=11
A→C→E→G→J1+2+1+2+1=7

最長はA→B→F→H→I→Jの12日です。AのあとでB側とC側へ分かれ、B側ではDまたはF、CからEへ進んだ側ではFまたはGへつながります。Fから先はH・I・J、Gから先はJです。先行表にある行き先だけを追えば、この4本を確認できます。

ここで、11日の経路と12日の経路は、どちらかを選んで片方だけ実行する選択肢ではありません。全作業を実施したうえで、どの一続きの条件が完了まで長くかかるかを調べています。経路が複数あるからといって、作業の実行回数を増やしたり、一番短い経路だけ実行したりはしません。

12日という経路がある以上、今の順序と日数のまま11日で終えることはできません。ただし、最長経路の合計が分かっただけでは、人員など別の制約まで満たしたとは限りません。今回は資源が十分という前提で、前進表の配置が実際にすべての先行関係を守り、Jを12で終えています。この「これより短くできない連鎖」と「その日数で置ける配置」の両方から、基準の最短工期が12日と確かめられます。

短い経路にも、余裕の小さい作業が含まれる

7日の経路を見て、12との差の5日をEの余裕としてよいでしょうか。Eは7日の経路だけでなく、Fへ向かう11日の経路にも含まれます。Eを大きく遅らせるとFが画像を待つ側になり、その先の印刷・受領・最終確認も押し出されます。特定の経路と最長経路との差だけでは、共有される作業の余裕は決まりません。

同じ理由で、全10作業の合計20日から、並行しそうな分を感覚で差し引く方法も使いにくくなります。どこで待ちが発生するかを見落としやすいからです。前進計算なら、Eは早く終わってもFはBを待つ、GはDを待つ、という待ち合わせを一つずつ処理できます。全作業の和20、最長の単一作業Bの4、最長経路の12は、それぞれ数えている対象が違います。

また、最初に見つけた経路が、条件変更後も最長とは限りません。基準からDだけを3日から5日へ変更すると、Dは5→10、Gは10→12となり、Jは12→13へ動きます。A→B→D→G→Jが13日になり、元の12日の経路を上回るためです。以前に最長経路へ付けた印を残したまま、印のある作業だけを追うと、この交代を見逃します。

このDの例では、2日延びた作業が全体を1日延ばしています。基準でGが10に終わってからJが11に始まるまでの差をまず使い、その先へ出た1日が全体へ響いた結果です。遅れた日数と全体の遅れを同じと決めず、変更した終了から後続をもう一度計算すると、影響の届く範囲が分かります。

後ろから戻り、二種類の余裕日数を読み分ける

全体と後続という二つの枠を見比べ、余裕を使ったときの影響範囲を確かめる学習用の概念画像。

分岐では、早い方の最遅開始へ戻る

前進計算は「最も早ければいつか」でした。次は全体を12で終える条件を保ち、各作業をどこまで後ろへ置けるかを求めます。その作業を終えておくべき最も遅い時刻が最遅終了LF、そこから作業日数を引いた開始が最遅開始LSです。基準の最早完了12を起点に、Jから逆向きに戻ります。

Jは1日必要なので、遅くとも11で開始します。Jへ渡すGとIは、どちらも11までに完了していなければなりません。Gは2日必要なため最遅開始9、Iは1日必要なため最遅開始10です。そこから紙側を戻るとHの最遅開始7、Fの最遅開始5が得られます。

分岐するEへ戻るときが要点です。Eの後続はFとGで、最遅開始はそれぞれ5と9です。Eを9まで延ばせばGには間に合っても、Fが5に始められません。両方の開始に間に合わせる必要があるので、Eの最遅終了は早い方の5、最遅開始は4です。前進で大きい方を採ったのと向きが反対ですが、「すべての条件を同時に満たす」という理由は共通しています。

  • 最遅終了LF=後続作業の最遅開始LSの最小値
  • 最遅開始LS=その作業の最遅終了LF−所要日数

Bにも二つの後続DとFがあります。最遅開始はDが6、Fが5なので、Bは5までに終える必要があります。Fの側がBの締切を早い方へ押さえているわけです。逆向きの計算を「各経路から別々の終了日を付ける作業」と考えず、一つの作業に集まった締切のうち、すべてを守れる値を残す作業と考えると混乱しにくくなります。

全体を遅らせないTFと、後続を遅らせないFF

全体の完了12を変えずに、その作業の開始を後ろへ動かせる幅がトータルフロートTFです。最遅開始LSから最早開始ESを引いて求めます。最遅終了LFから最早終了EFを引いても同じ値になります。一方、直後の作業の最早開始を動かさずに使える幅を、フリーフロートFFと呼びます。

FFは、後続の最早開始のうち最も早いものと、自分の最早終了との差で求めます。後続が複数ある場合、遅い方だけを見てはいけません。Eの後続Fは5、Gは8に最早開始できます。Eの最早終了4からFの開始5までの1日なら、どちらの後続も動かさずに済みます。Gまでの4日を余裕とするのは、Fを見落とした答えです。終点JのFFは、この基準では0とします。

表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。

作業最遅開始LS最遅終了LFTFFF
A0100
B1500
C2410
D6910
E4511
F5700
G91111
H71000
I101100
J111200

CはTFが1、FFが0です。Cの開始を1から2へ動かすと、終了は3から4へ変わり、直後のEも3では始められなくなります。後続を動かさない余裕はないためFFは0です。しかしEを4→5へ置けば、Fはもともとの5開始を守れます。Eまでの日程を動かしても全体12は保てるので、CのTFは1になります。

この違いは、余裕を使うときに誰の日程が変わるかを表します。Cに「1日余裕」とだけ書くと、Eの担当者が3に待機する予定をそのままにしがちです。全体の締切は守れても、画像確認を始める時刻は変更になります。TFがあることを、後続への影響が一切ないことと読まないでください。

DとGにも同じ関係があります。Dの開始を1日後ろへ動かすとGも動くため、DはTF1・FF0です。Gは10に終わり、JはIを待って11に始まるので、G自身を1日後ろへ動かしてもJの開始を保てます。表の数値を覚えるより、「どこまで影響を伝えてよい余裕か」をCとE、DとGで対応させる方が、使い分けを理解できます。

同じ1日の余裕を、CとEで二度使わない

CとEにはどちらにもTF1と書かれています。では、Cが1日遅れたあとにEもさらに1日遅れてよいでしょうか。次の表では、日数は変えず、開始時刻だけを後ろへ置いて比較します。Eの追加の遅れは、基準の3からではなく、Cの遅れで押し出された4からの1日です。

表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。

状況Cの区間Eの区間Fの開始全体完了
基準1→33→4512
Cの開始だけ1日遅らせる2→44→5512
その後、Eをさらに1日遅らせる2→45→6613

二つ目の状況では、Eは5に完了し、Bも5に完了するのでFを5から始められます。ここでC側が持っていた余裕は、Fの開始に届くところまで使われています。三つ目ではEの完了が6へ出るため、Fは6→8、Hは8→11、Iは11→12となり、Jが12→13へ押し出されます。CとEのTFを足して2日分の予備と数えることはできません。

また「CもEも基準から1日遅らせた」とだけ説明すると、Eは4開始となり、二つ目の状況と同じです。それで全体13と答えたら、説明と計算が食い違います。誰の開始を、どの時点から、どれだけ動かしたのかを示す必要があります。この例では作業日数の増加でも、先行作業の追加でもなく、開始条件の変更を扱っています。

開始を待つ条件を加えた三つ目の状況では、もとの4経路の日数の足し算だけを見ても13は出ません。作業そのものの日数は変えていないからです。変わったC・Eの開始条件と、その後の終了時刻まで追う必要があります。元の最長経路の合計12を、待ち条件を加えた後の完了見込みとして使い続けないでください。

締切を変えると、余裕の値も変わる

ここまで「TFが0の作業をつなぐとクリティカルパスになる」と読めるのは、最早完了12を後退計算の起点にしているためです。外から与えられた締切を使うと、同じ作業日数でもTFの値は変わります。締切と、ネットワークから求めた最短工期を分けておきます。

締切を11として逆算すると、A・B・F・H・I・JのTFはマイナス1になります。これは「マイナス1日分の余裕を使える」という意味ではなく、その締切に対して今の条件では1日足りないという信号です。たとえばAの最遅開始はマイナス1になり、開始点0より前に作業していた必要がある計算になります。表の締切欄を11へ書き換えるだけでは、この不足は解消しません。

逆に締切を14にすると、各作業の最遅開始は基準より2日後ろへ移り、TFは2または3になります。TF0の行はなくなりますが、A→B→F→H→I→Jの長さ12は変わりません。余裕が増えたのは締切との距離であり、最長の連鎖が消えたわけではありません。余裕の表を渡すときは、12を起点にした表か、別の締切から戻した表かも一緒に示します。

短縮案を比べ、短くしても変わらない限界を見る

紙側とページ側の資料を並べ、一つの条件を変えた後に全体を見直す短縮案比較の概念画像。

Cを短くしても、Fは原稿を待っている

ここからは基準の日数へ戻し、変更案を比較します。担当者の制約はまだ加えません。まずCの画像作成を2日から1日へ短くできると仮定します。Cは1→2、Eは2→3へ早まりますが、Fが必要とするBの完了は5のままです。画像が早くそろっても原稿を待つため、Fの5開始も、全体の12完了も変わりません。

この結果だけで、画像の早い完成に価値がないとは言えません。ただ、今回求めている「告知準備全体を何日早められるか」という効果は0日です。個別の作業で1日を節約したことと、全体の工期を1日短縮したことを分ければ、提案の効果を大きく言いすぎずに済みます。工程表上の短縮効果を確認したいときは、変えた作業の終了だけでなく、最終作業Jまで値を渡して確かめます。

逆に、Cを基準のままにしてHを短くする案はどうでしょうか。Hは最長経路上にありますが、短くした日数が無制限に全体へ効くわけではありません。もう一方のページ側が、どこまで早く終わるかも比べる必要があります。

Hを短くすると、二つの経路が並ぶ

基準のHは3日です。これを2日へ短縮できると仮定すると、Hは7→9、Iは9→10となります。Gも10に終わるため、Jは10→11です。紙側の完了がページ側とそろい、A→B→F→H→I→JとA→B→D→G→Jの両方が11日になります。

最長経路が二つあるというのは、どちらでも好きな方を管理すればよいという意味ではありません。どちらか一方が延びても、その枝の完了をJが待つことになります。基準では紙側のIを待っていたJが、この案ではGとIの両方にちょうど間に合ってもらう必要があります。短縮後に余裕の構造が変わる点まで見ておくと、「短くなったから以前より安全」と単純には判断できないことが分かります。

次に、この案のHをさらに2日から1日へ短縮します。紙側はHが7→8、Iが8→9へ早まります。しかしGの終了10は変わりません。JはGを待って10に始まり、全体は11のままです。Hの2回目の短縮で生まれた1日は、今度はJの前で待つ時間へ変わっています。

この段階では、最長経路はページ側のA→B→D→G→Jです。最初にクリティカルだったHをさらに急がせる前に、短縮後のネットワークを見直す理由がここにあります。クリティカルパスは、基準時点で一度選んだ作業の固定リストではありません。

次の1日を縮めるには、ページ側も変える

Hを1日にした案へ、Dを3日から2日へ短縮する変更を加えます。Dは5→7、Gは7→9となり、Iの終了9とそろいます。Jを9→10へ置けるため、全体は10です。今回の案では、紙側とページ側の両方の連鎖を短くしたことで、11の壁を越えられました。

表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。

案変更の置き方全体完了最長経路の本数
基準C2・D3・H3121
C短縮基準からCだけ2→1121
Hを2日基準からHだけ3→2112
Hを1日直前案からHをさらに2→1111
H1・D2H1案へDの3→2を追加102

C短縮の案は、Hの短縮案へ累積させていません。比較するときは、基準から別の案を作ったのか、一つ前の案に変更を足したのかを区別してください。変更後の日数が書かれていない「1日短縮」だけの記録では、Hが2日なのか1日なのか、後で計算を再現できません。

締切が10なら、この表から検討できるのは「Hを1日、Dを2日にできれば、今回の先行条件では10になる」という条件付きの案です。印刷の待ちを実際に1日へ変えられるか、ページ設定を2日で終えられるかは、計算表の外で確認しなければなりません。特にHは待ちの期間なので、こちらの作業者を増やしただけで短くなるとは限りません。

また、Dを短くするために確認対象を省くなど、成果物の条件を変えるなら、単なる所要日数の変更とは別の相談になります。短縮の可否、追加費用、品質への影響、関係者の了承が未確認の段階では、10を新たな確約として伝えず、成立条件のある試算として扱います。数字を目標へ合わせる前に、変えられる入力がどれかを確かめる順序です。

担当が一人なら、二つの順番を作って比べる

一人の担当者がページ作業と版下作業の資料を見比べ、実施する順番を考える学習用の概念画像。

DとFが重なる基準配置は、そのまま使えない

ここでは日数をすべて基準へ戻し、Dのページ設定とFの版下作成だけを同じ一人が担当する条件を加えます。この二つは同時に行えず、途中で中断して他方へ移ることもできないとします。他の作業には必要な担当者がいて、Hの印刷待ちの間もDやGを進められます。前章のH1・D2案とは、別の比較です。

基準の最早配置では、Dは5→8、Fは5→7です。5から7まで重なっているため、この一人へ両方を割り当てると実行できません。元の先行関係を満たす日程でも、担当者の使える時間を満たすとは限らないわけです。ここで12という答えを捨てるのではなく、12は人員制約を加える前の基準、と位置付けを残します。

対処として、DのあとにFを行うか、FのあとにDを行うかを比較します。元の技術的な先行表にD→FやF→Dがあるわけではありません。紙チラシを作るためにページ完成が必要なのではなく、一人の手を空けるために順番を付けます。この追加順を元の先行条件と区別しておけば、担当が分かれたときに、不要になった人員都合の順番だけを見直せます。

Dを先にすると15日、Fを先にすると13日

Dを先にする案では、Bが終わる5からDを始め、8で終えます。Fは原稿と画像がすでにそろっていても、担当者がDを終える8まで待ちます。Fが10で終わってからHの3日間が始まるため、Iの終了は14、Jの終了は15になります。

表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。

Dを先にする案区間
D:ページ設定5→8
F:版下作成8→10
G:ページと画像の確認8→10
H:印刷待ち10→13
I:受領・準備13→14
J:最終確認14→15

この案ではGは10に終わっていますが、JはIの14まで待ちます。ページを先に完成へ近づけたことで、その分だけ告知全体も早まったわけではありません。版下の着手が遅れ、その後の待ち時間もまとめて後ろへ移ったためです。

Fを先にする案では、Fを5→7へ置き、その後でDを7→10へ置きます。Fが終わった7から印刷待ちHを始められるため、Dを進める7→10とHの7→10が並びます。DとFの同時作業を禁止していても、DとHの並行まで禁止したわけではない点が違いを生みます。

表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。

Fを先にする案区間
F:版下作成5→7
D:ページ設定7→10
H:印刷待ち7→10
I:受領・準備10→11
G:ページと画像の確認10→12
J:最終確認12→13

紙側のIは11に終わり、ページ側のGは12に終わるので、Jが待つのはGです。全体は13となり、D先の15より2日早くなります。D自体の開始は基準より遅くなっていますが、Hの待ちをDと重ねられるため、全体の終了はD先より早いのです。「早くページを完成させる案」と「全部を早くそろえる案」が一致しないことを、この二つの配置で確かめられます。

13日が最短と言えるのは、この限定条件の中

単に二案を比べて早い方が13だった、というだけで、どんな人員計画でも13が最適とは言えません。ただし今回、同じ一人が行う作業はDとFの二つだけです。両方とも途中で中断せず、重ねられないので、可能な前後関係はD先かF先のどちらかになります。

D先では、A・Bが終わる5からDの3日、Fの2日、Hの3日、Iの1日、Jの1日が順に必要です。この連鎖だけで15より短くできません。F先では、A・Bの5日、Fの2日、Dの3日、Gの2日、Jの1日が順につながり、13より短くできません。どちらも上の表でその終了を実現しているため、二つの順序の最小値である13が、この限定モデルの最短工期になります。

途中に空き時間を入れても、この連鎖は短くなりません。DもFもBの完了5より前へ出せないので、別の開始時刻を選ぶだけで12へ戻すこともできません。12で終えたいなら、日数や同一担当など、今回固定した条件のどれを変更できるのかを別途検討する必要があります。

実際にはDの担当者がGも行う、別案件が同じ日に入る、といった条件が加わることがあります。その場合は、この二案の表をそのまま最適解として使えません。誰のどの時間が使えないかを追加し、重なる作業と順序を改めて調べます。週全体の使える時間を確かめたい場合は、副業・独立準備の時間管理と分けて考えると、今回の工程計算へ生活時間の見積りまで混ぜずに整理できます。

実績を固定し、残りの条件から完了見込みを更新する

完了済みの資料と残りの作業を分け、残りの条件から見込みを更新する学習用の概念画像。

境界5で分かった新条件から、残りを計算する

最後は、開始前の比較ではなく、進行中に新しい情報が入った場面です。ここでも第5章の一人担当という制約は外し、必要な並行作業を進められる条件へ戻します。最初の状況は、開始から5作業日が経過した境界5で、A・B・C・Eが完了し、DとFはまだ始まっていない、という観測です。さらに、これから発生するHの印刷待ちが3日ではなく5日かかると分かったものとします。

Aなどの完了済み作業を、もう一度0から並べ直す必要はありません。BとEは完了しているので、DとFは現在の境界5から始められます。Dの残りは3日、Fの残りは2日です。G・H・I・Jも未着手で、H以外の日数は基準を保ちます。現在から先へ置くと、次の配置になります。

表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。

境界5からの残作業今後の所要日数予測区間
D35→8
F25→7
G28→10
H57→12
I112→13
J113→14

Fが7に終わってから、Hの新しい5日間が始まります。印刷完了12、その後の受領・準備13を待って、Jは13→14です。基準の全体完了12から2日後ろへ動きますが、現在からの残りは9作業日です。完了境界14と残り9を同じ欄に入れると、14日がさらに必要なのか、開始から14なのか分からなくなります。

この状況の説明には「現在5、基準完了12、新しい完了見込み14、残り9」を対応させます。残りの作業だけを足した数字に過去5日を二度足したり、完了済みBの4日を再計上したりしないことが要点です。過去の仕事を計算対象から消すのではなく、完了の証拠として固定し、その条件を満たした後の未来だけを再配置します。

境界7のDは、実開始と残区間を別に書く

次は、前の境界5の例の続きではない、別の観測状況です。Hの残りは基準どおり3日に戻します。境界7でA・B・C・E・Fは完了しています。Dは境界5に実際に開始していますが、境界7で確認したところ、終了までなお3日必要という報告があったとします。Hは未着手で残り3日、G・I・Jも未着手で、残りはそれぞれ2日・1日・1日です。

Dは、もとの計画では3日間でした。そこから2日が経過したので残り1日、と計算したくなるかもしれません。しかし、今回の入力には「現在からなお3日」という新しい見積りがあります。経過時間だけで残りを決めると、この報告を無視することになります。作業開始後に難しさが分かった場合など、経過と残りは必ずしも比例しません。この例では進捗率を仮定せず、確認できた残り3日を使います。

表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。

境界7での作業実績・観測状態残り日数今後の予測区間
D実開始5・進行中37→10
H未着手37→10
G未着手210→12
I未着手110→11
J未着手112→13

表のDの7→10は、残っている仕事を置いた区間です。実際の開始が7だったという意味ではありません。実開始5の履歴を保持したまま、現在7から残り3を進め、終了を10と予測しています。実開始欄まで7へ上書きすると、5から7まで取り組んでいた事実が失われ、後から計画と実績を比べられなくなります。

Dが10で終わるとGは10→12です。一方、Fはすでに完了しているため、Hは現在7から始められ、7→10、Iは10→11となります。Jは両方を待って12→13です。この状況の全体完了見込みは13、境界7からの残りは6作業日になります。以前の最長経路だけを見てHを監視していても、今回終点を押さえるD・G側の変化は説明できません。

完了済みのA・B・C・E・Fについて、ここで分かっているのは「境界7までに完了」という観測事実です。各作業が基準どおりの時刻に終わったとは指定していません。計画表の数値をそのまま実績欄へ転記せず、分からない完了時刻を作らないようにします。残り日程を求めるのに不要な過去の細部まで、推測で埋める必要はありません。

基準、観測、予測を並べて伝える

二つの状況を比べると、同じ基準12から出発しても、境界5の例は14、境界7の例は13という見込みになります。後の時点の方が必ず遅くなるという関係ではなく、観測した状況自体が違うからです。別々の例のH5とD残り3を、いつの間にか一つの案件へ重ねて計算しないでください。

表が画面に収まらない場合は横にスクロールできます。

記録する内容境界5の状況境界7の別状況
基準の完了1212
観測時点57
計算を変える情報未着手Hが5日必要Dは実開始5、現在から残り3日
全体の完了見込み1413
現在からの残り9日6日
基準との差2日後ろ1日後ろ

たとえば境界7の状況なら、「基準は12、現在7、ページ設定は5に開始済みで残り3日、後続の確認まで含めると13の見込み」と伝えると、何が変わってどこへ響いたかをたどれます。「進捗が悪いので1日遅れそう」だけでは、どの入力を確かめれば予測を更新できるのかが見えません。Dの残りを確認し直すべきなのか、Gの所要日数を相談すべきなのかという次の検討も、具体的な区間があって初めてできます。

ただし、計算した13や14は、入力した残日数が成り立つ場合の見込みです。相手と合意している締切が12なら、予測欄を13へ替えただけで、その約束も変更されたことにはなりません。基準と約束を保持したうえで、現在の条件では何日ずれるか、どの短縮案ならどこまで戻せるかを分けて相談します。未確認の短縮を先に計算へ織り込んで、見た目だけ12へ戻すことは避けましょう。

クリティカルパスの計算は、最初の答えに印を付けて終わるものではありません。この例では、Dの長期化、Hの短縮、一人担当の順番、進行中の残り日数によって、完了を決めるつながりが変わりました。前進計算に戻れる先行表を持ち、実績を固定し、変わった入力から先を計算し直すことで、終点が動く理由を具体的に説明できます。

進行管理を含む仕事を検討する場合は、この架空演習を実案件の経験として扱わず、業務範囲・稼働条件・求められる実務経験を確かめてください。フリーランス案件の探し方と条件比較では、案件を探すルートと、応募前に見る条件を整理しています。

用語と計算方法の確認には、PMIのCPM計算解説、実績・残り日数と資源条件の扱いにはGAOのSchedule Assessment Guide、変更によるクリティカルパスの変化にはMicrosoftの公式解説を参照しました。教材の作業名、日数、比較案は本記事用の架空例であり、これらの資料の図表や設問の転載ではありません。根拠の確認日:2026年10月17日。