Excel Power Queryの使い方|月次CSVの結合・整形・更新チェック
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こんにちは。『脱会社員』脱サラを応援し続けるブログ、運営者の『なかびー』です。
毎月届くCSVを開き、不要な列を消して、前月の表の下へ貼り付ける。この作業を繰り返しているなら、ExcelのPower Queryで取込と整形の手順を記録する方法を検討できます。同じ形式のファイルを決めたフォルダーへ置き、記録した手順で読み直す形にすると、毎回の操作をそろえやすくなります。
ただし、「更新を押せば何でも正しくなる」という仕組みではありません。別形式のCSV、修正版の重複、先頭の0がある商品コード、文字化け、列名の変更などは、取込が成功して見えても内容を間違える原因になります。必要なのは、ファイルの選別、型の確認、件数と金額の照合を含む更新手順です。
この記事ではWindowsデスクトップ版Excelの「データの取得」から同形式の月次CSVを結合する流れを中心に説明します。Microsoft公式資料は2026年10月4日に確認しました。Mac・Web版では接続先や作成・更新の対応に違いがあります。以下のCSVは独自に作成した架空データで、件数・数量・金額は別計算で検算しました。Power Queryの実機操作を全環境で試験したものではありません。掲載画像も説明用の生成イメージです。
月次CSVをまとめる前に、形式と保管場所をそろえる

Power Queryで扱うのは、繰り返す取込と整形の手順
Power Queryは、ファイルなどのデータ源へ接続し、必要な形へ変換して読み込むための機能です。列の選択、型の指定、不要行の除外といった操作を手順として持ち、更新時にその手順を適用できます。セルへ条件集計の数式を一つずつ書く作業とは、担当する工程が異なります。
例えば、毎月のCSVを一つの明細表にするところをPower Query、完成した明細の比較や報告をその後の集計表、というように役割を分けられます。この記事では月次ファイルの取込・整形・更新に集中し、複雑な分析や別テーブル同士の照合は扱いません。最初からすべてを一つの仕組みに詰め込まない方が、問題の起点を見つけやすくなります。
大まかな仕組みはMicrosoft公式のPower Query概要で確認できます。ここでは、その機能を「月ごとに届く同じ形式のCSV」という限定した作業へ当てはめます。入力の形式と期待する出力を先に決め、処理の前後を比べられる状態にして進めましょう。
練習用の二ファイルを、同じ五列で用意する
専用の練習フォルダーへ、orders_2026-08.csvとorders_2026-09.csvを置きます。両方とも一行目を「取引ID,日付,商品コード,数量,金額」とし、説明行、見出しの前の空行、末尾の合計行は入れません。文字コードはこの練習ではUTF-8、区切りはカンマにそろえます。
※表は横にスクロールできます。
| ファイル | 取引ID | 日付 | 商品コード | 数量 | 金額 |
|---|---|---|---|---|---|
| orders_2026-08.csv | O801 | 2026-08-02 | 0012 | 2 | 1000 |
| orders_2026-08.csv | O802 | 2026-08-12 | 0013 | 1 | 800 |
| orders_2026-08.csv | O803 | 2026-08-25 | 0012 | 3 | 1500 |
| orders_2026-09.csv | O901 | 2026-09-03 | 0012 | 4 | 2000 |
| orders_2026-09.csv | O902 | 2026-09-08 | 0013 | 2 | 1600 |
| orders_2026-09.csv | O903 | 2026-09-28 | 0014 | 5 | 1500 |
8月は三行・数量6・金額3,300、9月は三行・数量11・金額5,100です。二ファイルを合わせると六行・数量17・金額8,400になります。金額は行ごとの架空の値であり、会計上の売上や税込・税抜の判断を示すものではありません。今回の目的は、取込で値が欠けたり重なったりしていないかを検査することです。
商品コードの0012は、四文字の識別子として保持します。数値12と見なしてから、後で表示だけ四桁にすればよいと決めつけないようにしてください。元のコード体系に意味のある0が含まれる場合は、取込時からテキストとして扱う設計が必要です。練習データをCSVとして作る際も、テキストエディターなどで実際の内容に0012が残っているか確認します。
取込専用フォルダーに、結果や修正版を混ぜない
同じフォルダーを読み取る方式では、そこにどんなファイルを置くかが処理の一部になります。元CSV、確認用のExcel、書き出した結合結果、旧版のコピーを一箇所へ混ぜると、意図しないファイルまで対象になる可能性があります。取込対象、保管用原本、出力結果の置き場所を分けると管理しやすくなります。
例えば「月次入力」には採用済みの月次CSVだけを置き、「原本保管」には受領したファイルをそのまま残し、「出力」へ集計用ブックを保存する設計です。これはフォルダー名の一例なので、所属先の管理ルールがある場合はそちらを優先してください。保存場所を明確にする目的は、誰が見ても対象ファイルを確認できるようにすることです。
ファイル名だけで処理の正しさは保証されません。orders_2026-09.csvという名前でも、中身が8月のコピーなら誤ったデータになります。取込時には名前に加えて、日付の最小・最大、件数、合計を見ます。内容を確認していないファイルを対象フォルダーへ入れることを、更新の承認と同一視しないようにしましょう。
Windows・Mac・Webで同じメニューを期待しない
本文の操作は、Windows版のExcelでフォルダーから取得できる環境を前提にしています。Mac版にもPower Query機能はありますが、データ源によって新規取込と更新の対応が異なることがあります。Web版も利用できる接続先や機能が製品・プランによって変わるため、Windowsの手順をそのまま置き換えないでください。
対応範囲はMicrosoft公式のExcel版別Power Queryデータソースで確認できます。特に、CSV単体を読めることと、ローカルフォルダー内の複数ファイルを新規にまとめられることは同じではありません。自分の画面にフォルダーの項目が見当たらないときは、版と接続先の対応を調べましょう。
引き継ぐ人が別のOSを使う場合は、完成した表を見られるかだけでなく、その人の環境で更新できるかを試す必要があります。元フォルダーへのアクセス、パスの違い、Excelの機能差が関係します。仕組みを作った人のパソコンで一度成功したことを、チーム全体での利用確認の代わりにしないようにします。
フォルダーから読み込み、対象CSVだけを結合する

接続前にフォルダーの内容を数える
まず練習フォルダーに二つのCSVだけがあることを確認します。ファイル名、拡張子、サイズ、更新日時を一覧で見て、空のファイルや重複コピーがないか調べます。CSVという名前でも拡張子が二重になっていたり、内容が異なる形式だったりする可能性があるため、最初の一回はテキストの中身も見てください。
Power Queryは指定したデータ源を読むため、接続したフォルダーが一階層違えば対象も変わります。似た名前の作業用フォルダーが複数ある場合は、フルパスを控えます。ネットワーク上の場所を使う場合は、本人の権限で読めることと、後任者にも必要な権限があることを、管理ルールに沿って確認しましょう。
取込側から元CSVを自動的に正しく修復する前提にはしません。空ファイルや別形式が見つかったら、どの月を誰に再出力してもらうかを決めます。正常なファイルだけで初期の練習を作り、例外の扱いは別のコピーで試す方が、基本操作と運用上の問題を分けやすくなります。
データの取得から、結合前のファイル一覧を見る
Windows版ではデータタブのデータの取得から、ファイル、フォルダーへ進む経路を探し、対象フォルダーを指定します。画面名は版によって変わる場合があります。一覧が出たら、最初から結合して終わるのではなく、必要に応じてデータの変換を選び、対象ファイルを確認できる状態で進めます。
ファイル一覧ではName、Extension、Folder Path、Contentなどの列が表示されることがあります。Extensionで.csvを選び、Nameで今回の命名規則に合うファイルに絞ると、別形式や不要なコピーの混入を減らせます。ただし「orders_」で始まるもの全部を含めるだけなら、orders_2026-09_backup.csvも通ってしまうため、命名規則と照合を組み合わせる必要があります。
フォルダー接続ではサブフォルダーのファイルが含まれる場合もあるため、Folder Pathも確認します。古い版を下のフォルダーへ移せば必ず除外される、と考えないでください。今回は二ファイルだけという小さな前提を守り、実務では対象となるパスやファイル名を明確に絞る設計を選びます。
サンプルファイルと読み取り設定を確かめる
対象を絞った後、Content列などからファイルを結合する操作へ進みます。結合画面では、どのファイルをサンプルとして読み取るか、区切り文字、ファイルの元の形式や文字コードなどを確認します。この練習はカンマ区切り・UTF-8なので、日本語の列名が正しく見え、五列へ分かれていることを確かめてください。
Microsoftは、同じ構造のファイルを一つの表へまとめる考え方をファイル結合の概要で説明しています。サンプルとして選ばれた一つが正常でも、他のファイルの形式が違えば、そのまま同じ変換を適用できるとは限りません。列名やヘッダーの位置が月によって違わないか、先に確認する理由がここにあります。
取込後に文字が化ける場合は、見えている文字を一括置換する前に、読み取り設定と元ファイルの文字コードを確かめます。区切りが違う場合も、数列が一つの長い文字列へ入ることがあります。表が表示されたというだけで成功とせず、五つの項目がそれぞれ意図した列へ入ったかを見ましょう。
結合後もファイル名を残して追跡できるようにする
結合した結果には、元ファイル名を表すSource.Nameなどの列が付くことがあります。この列は、どの月のどのファイルから来た行かを追うのに役立ちます。最終提出資料で不要でも、検査用の段階では残しておくと、金額が合わないときに月別へ切り分けられます。
CSV結合の具体的な流れはMicrosoft LearnのCSVファイル結合に案内があります。生成されるサンプルファイル変換用クエリや補助クエリは、一見不要に見えても本体の処理が参照している場合があります。名前が分からないからと削除せず、どの手順が各ファイルへ適用されるかを確かめてください。
本例では、ファイル名ごとに三行ずつ、合計六行であることを確認します。見出しが途中にもう一度明細として現れたり、片方のファイルが欠けたりしていないかも見てください。各CSVに見出しがある場合は、ファイルごとの見出し処理と結合後の列名が適切になっているかを点検します。
日付・商品コード・数量の型を決め、整形手順を点検する

自動で付いた型を、そのまま正解にしない
Power Queryは列の内容から型を推定することがありますが、数字に見える商品コードを数値へ変えると0012が12になる可能性があります。プレビューで型のアイコンと適用したステップを見て、どの段階で値が変わったかを確認してください。すでに数値化された後へテキスト型の手順を足すだけでは、消えた先頭の0が戻るとは限りません。
サンプルファイルの変換側に型変更がある場合は、その設定を見直し、商品コードをテキストとして読み取れる段階から処理します。必要な型を明示し、少なくとも0012・0013・0014が四文字で残っていることを確かめます。型変更の位置を調べる目的は、データの意味が失われる前に防ぐことです。
型の種類と自動検出はMicrosoft LearnのPower Queryデータ型で確認できます。本例の取引IDと商品コードはテキスト、日付は日付、数量と金額は整数として扱う設計です。実務で金額に小数がある場合は、必要な精度や端数処理のルールに合わせて型を選び直してください。
※表は横にスクロールできます。
| 列 | 本例で使う型 | 守りたい意味 | 変換後に見る例 |
|---|---|---|---|
| 取引ID | テキスト | 一件を追う識別子 | O801が欠けていない |
| 日付 | 日付 | 取引の記録日 | 2026-08-02が8月2日 |
| 商品コード | テキスト | 先頭の0を含む四文字 | 0012が12にならない |
| 数量 | 整数 | 件数ではなく個数の値 | 2・1・3が数値 |
| 金額 | 整数 | 行ごとに登録した金額 | 1000・800・1500 |
| 元ファイル名 | テキスト | 出所を追う情報 | 8月と9月を区別 |
日付の地域設定と、区切り文字の解釈を確認する
日付が03/04/2026という形なら、3月4日と4月3日のどちらを表すかは形式と地域設定に左右されます。画面でエラーが出ずに日付へ変換されても、意味を取り違えている場合があります。本例は2026-08-02のように年から始まる表記で統一していますが、実際の出力システムの仕様を必ず確認してください。
地域設定を指定して型を変更する操作が必要な場合は、列の型変更で適切なロケールを選びます。設定を推測して大量に変換する前に、月と日を取り違えると違いが分かる代表値で試します。日が13以上の行だけを見て確認を終えると、3と4のような両方成立する日付の誤変換を見逃すおそれがあります。
CSVの読込設定はMicrosoft LearnのText/CSVコネクタで確認できます。カンマを含む項目が引用符で囲まれている場合など、単純に文字をカンマで分割するだけでは扱えないデータもあります。Excelへ表示された列数と、元ファイルの項目定義を照合しましょう。
不要行を除く前に、その行が何かを調べる
CSVの末尾に「合計」という行が入るシステムもあります。その行を明細として取り込むと、数量や金額を二度数える原因になります。除外する場合は、「取引IDがない行を全部消す」といった広い条件ではなく、出力仕様と実際の値を確認して、何を除いているか説明できる条件にしてください。
空欄のIDは、合計行ではなく入力漏れの取引かもしれません。型変換エラーの行も、不正なデータと確定する前に内容を見る必要があります。いきなりエラー行を削除して六行へ近づけるのではなく、元ファイル名と行の内容を残し、欠落した数と理由を確認してください。件数を目標値へ合わせることが検査の目的ではありません。
この練習データには合計行も空行もないため、除外して行数を減らす操作は不要です。本文を読みながら実務ファイルへ応用するときは、この前提を読み替えます。記事に除外の話があるからという理由だけで、必要な明細を消す手順を追加しないようにしましょう。
適用したステップを上から追い、変わった箇所を確かめる
Power Queryエディターでは、操作が適用したステップとして並びます。接続、ファイルの絞り込み、結合、見出し、型の変更などを順に選ぶと、その段階のデータを見られます。最終結果だけでなく、どのステップで行数や列名、値が変わったかを追うことが、原因調査の基本です。
名前が「変更された型」「削除された列」だけでは分かりにくい場合、意味が伝わる名前や説明を付ける工夫ができます。例えば「商品コードを文字列に保持」「入力フォルダーのCSVだけ選択」のように、目的が分かる情報を残します。操作名を増やすより、重要な前提を記録することを優先してください。
手順の途中を消すと、後のステップが参照している列がなくなり、別のエラーを生む場合があります。直す前にはクエリやブックのコピーを保存し、一つの変更ごとに後続の結果まで確認します。MicrosoftのPower Queryのベストプラクティスも参考に、必要な型と分かりやすい処理を保ちましょう。
ワークシートへ読み込み、翌月の追加と更新を検算する

読み込み先を決め、結果の表を手修正しない
整形を確認したら、閉じて読み込む操作へ進み、ワークシートの表として読み込む場所を決めます。最初は新しいシートに出すと、元データの説明や手入力の表と混ざりにくくなります。クエリの名前と出力シートの名前を、どちらも月次明細と分かるものへそろえておきましょう。
読み込まれた表は、クエリの結果です。そこに表示された金額を手で直しても、次の更新で元データから作り直されれば、その修正が失われる可能性があります。誤りを直す場所は、原本の訂正手順や変換手順に従って決めます。出力結果をその場で上書きして数字を合わせる運用は、継続利用に向きません。
メモや担当者の確認結果を追加したい場合は、取引IDと結び付けた別の管理表を用意する方法を検討します。更新で行の位置が変わる可能性があるため、単に表の右隣へ並べて入力するだけでは、別の取引にメモが付いて見えるおそれがあります。出力された行番号を永久的な目印にしないことが重要です。
二か月分を件数・数量・金額で照合する
初回の結果は六行、数量17、金額8,400です。加えて、元ファイル名別で8月が三行・3,300、9月が三行・5,100であることを確認します。一つの合計だけでなく、ファイル別に分けて元の数字へ戻れるようにすると、どの月で不一致が起きたかを探しやすくなります。
取引IDがO801・O802・O803・O901・O902・O903の六つになっているかも見ます。行数と合計がたまたま一致していても、別の行を重複して取り込んだ可能性は残ります。商品コードの0、日付の年・月・日、数量と金額の型も、代表行で照合してください。
表示されているプレビューが、常に全件を検査した結果とは限りません。データ量が増えた場合は、最初の数行だけを見て完了とせず、必要な件数・エラー件数・ファイル数の確認を行います。最終的にワークシートへ読み込まれた表や、実務で使う出力先そのものを確認する工程を残します。
翌月ファイルを二行追加し、差分を確かめる
次に練習用コピーでorders_2026-10.csvを追加します。列名、並び、文字コード、区切りは前の二ファイルと同じです。内容はO1001・2026-10-02・0012・1・500と、O1002・2026-10-03・0014・2・600の二行にします。10月分は二行、数量3、金額1,100です。
ファイルを所定フォルダーへ保存した後、Excel側で対象クエリやすべて更新の操作を行います。ファイルを置いただけで必ず読み込み済みになるわけではありません。更新の完了を確認し、結果が八行、数量20、金額9,500へ変わるかを照合してください。追加前からの差が二行・数量3・金額1,100であることも見ます。
※表は横にスクロールできます。
| 確認段階 | 対象ファイル数 | 明細行数 | 数量 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 8月だけ | 1 | 3 | 6 | 3300 |
| 8月+9月 | 2 | 6 | 17 | 8400 |
| 追加した10月分 | 1 | 2 | 3 | 1100 |
| 更新後の三か月 | 3 | 8 | 20 | 9500 |
| 更新前後の差分 | 1増加 | 2増加 | 3増加 | 1100増加 |
もし更新後も六行なら、保存先が違う、ファイル名の絞り込みで除外された、更新が終わっていないなどの原因を調べます。新しいクエリを毎月作り直す前に、接続先と対象ファイル一覧を見てください。初回だけ固定の二ファイルを選ぶ条件になっていれば、10月分が入らないため、意図した命名規則と一致するように設計を見直します。
修正版を追加する場合は、元版と二重にしない
9月の修正版が届いたとき、orders_2026-09.csvとorders_2026-09_fix.csvを同じ対象フォルダーへ置けば、両方が採用される設定では9月が二重になります。フォルダー結合は、どちらが正しい最新版かを業務上の意味から判断してくれるものではありません。修正版の置換方法をあらかじめ決める必要があります。
一つの月につき採用ファイルを一つにするなら、旧版を原本保管へ移し、対象フォルダーには確定した一つだけを置くルールにします。ただし、サブフォルダーも対象になる接続では移動先に注意してください。元のファイルを復元できるように、受領日と採用した版の記録を残します。
また、毎月のCSVがその月だけの差分なのか、年初からの累計なのかを必ず確認します。8月累計と9月累計を縦にまとめれば、過去の取引を何度も含むことがあります。今回の例は各月に固有の取引だけが入る方式です。実務の出力仕様が累計なら、そのままこの結合方法へ当てはめず、採用するファイルと履歴の残し方を設計し直してください。
エラー・欠落・引き継ぎを含め、毎月の運用を整える

列名変更は、見た目の小修正として流さない
出力システムの更新で「金額」が「売上金額」へ変わった場合、既存クエリの列参照がエラーになることがあります。一方で、変換の作り方によっては新しい列が使われず、必要な値が欠けたまま進む可能性もあります。正常終了という表示だけで、必要な五項目が残っていると判断しないようにしましょう。
変更を受けたら、新旧ファイルの列名・順序・型・意味を比較します。名称だけ変わったのか、税込と税抜のように内容まで変わったのかによって対応が違います。列名を置換して動くようにした後も、代表取引の値と月次合計を再照合してください。業務定義の変更を、数式やクエリの編集だけで解決したことにしないようにします。
クエリがサンプルの列構成へ依存している場合は、追加された列や欠けた列が出力へどう反映されるかも調べます。新しい項目が必要なら、展開する列や後続の型変更など、関連する手順を一緒に確認します。変換を一箇所直しただけで、その先の工程も正しくなったとは限りません。
エラーを飛ばして成功に見せる前に、落ちた行を把握する
取込時のエラーや型変換エラーを無視すると、処理が最後まで進んでも、対象となる取引が欠ける可能性があります。原因調査では、エラーになったファイル名、取引ID、元の値、発生したステップを控えます。再出力を依頼するのか、変換の仕様を直すのかを判断できるようにしましょう。
数量列へ「確認中」が入っていた場合、それを0へ置き換えると、数量なしと未確定を同じものにしてしまいます。実務の管理ルールによっては別の状態列を設ける必要があります。型が合わない値を自動で消すのではなく、元の意味を確認して、正しいデータへ直す場所を決めてください。
※表は横にスクロールできます。
| 起きたこと | 先に見る場所 | 確かめる証拠 | 直す方向 |
|---|---|---|---|
| 日本語が化ける | CSVの文字コード設定 | 元ファイルの日本語列名 | 読込設定を合わせる |
| コードの0が消える | 型変更の最初のステップ | 元CSVの0012と結果 | 数値化前からテキスト保持 |
| 翌月が入らない | パスとファイル絞り込み | 対象一覧に10月があるか | 保存先・選別条件・更新を確認 |
| 金額が二倍に近い | 修正版と累計ファイル | 採用ファイル名とID | 対象の版と単位を見直す |
| 列が見つからない | 列名と展開・型変更 | 新旧のヘッダー | 必要な列へ手順を修正 |
| 更新は完了したが行が少ない | 除外・エラー処理 | 元件数と除外件数 | 落ちた行の理由を調べる |
更新担当と確認担当が同じ手順を再現できるようにする
引き継ぎ資料には、入力フォルダーの場所、命名規則、一月一ファイルかどうか、各CSVの列定義、修正版の扱い、更新ボタンの場所、確認する数字を残します。「Power Queryで自動化済み」という一言だけでは、何を入れてよいか分かりません。人が確認すべき前提まで含めて手順にすることが重要です。
更新履歴には、実行日、対象ファイル一覧、明細件数、主要な合計、エラーの有無、採用した版を記録します。毎月の数値が必ず増えるとは限らないため、「先月より大きいから正常」ではなく、追加・訂正・取消などの差分の理由を説明できる形にします。想定外に大きく変わった場合は、その差分へ戻って調べます。
共有環境へ移すときは、後任者のパソコンでも接続先を参照でき、更新後の結果が一致するかを試してください。資格情報や組織のセキュリティ設定を無断で変更して通すのではなく、必要なアクセスを管理者へ確認します。本記事はローカルの架空CSVの取込例であり、業務データの外部送信を勧めるものではありません。
ひな形を使っても、取込前後の照合は省かない
管理表や報告書の形式を選ぶ際は、当サイトのbizoceanの文書テンプレート活用ガイドも参考になります。テンプレートの項目へ合わせるために元データを無理に削るのではなく、必要な列と変換後の列の対応を確認してください。見た目が整った報告書ほど、裏側の取込漏れが気付きにくくなる場合があります。
最初の完成基準は、二ファイルをまとめて六行・数量17・金額8,400になり、10月分を追加した後に八行・数量20・金額9,500になることです。ここまでを、元のIDと商品コードの桁を保ったまま再現できれば、初回の取込と翌月更新を一続きに確認できます。練習用の期待値は、変更後の回帰テストにも使えます。
Power Queryを使い続けるには、変換手順を記録するだけでなく、入力の形式と更新後の確認をそろえることが大切です。対象ファイルを選び、日付とコードの型を守り、件数と合計を照合する。この三つを毎月の作業へ組み込んでから、扱うファイル数や項目を広げていきましょう。