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こんにちは。『脱会社員』脱サラを応援し続けるブログ、運営者の『なかびー』です。

将棋のルールを覚えるときは、駒の動きを暗記するだけでなく、「この一手で盤と持ち駒がどう変わるか」を確かめると理解が進みます。動ける形に見えても、途中に駒がある、成る条件を満たさない、自分の玉を危険にさらす、といった理由で指せない手があります。

この記事では本将棋の初期配置と23の構成教材を使い、指せる手と指せない手を比較します。駒を取る、成る、打つという操作を切り分けた後、王手への応じ方と、履歴が必要な千日手へ進みます。戦法の強さや勝率の比較ではなく、最初の一局でルール上の判断ができることが目標です。

基本規則は2026年10月13日に日本将棋連盟の現行対局規則で確認しました。教材S00・S01には初期配置からの手順があります。それ以外は条件の違いを説明するための構成教材で、初期配置からの到達手順を証明したものではありません。実対局の記録や筆者の対局経験を装ったものでもありません。

盤面は先手を下側に固定し、▲を先手、▽を後手と表します。各図には手番と双方の持ち駒を記載しています。横に長い盤や表は横スクロールして確認してください。

将棋のルールは「相手の玉を詰ます」から覚える

先手から見た将棋盤の座標模式図。左から9筋〜1筋、上から一段〜九段で、奥に後手、手前に先手を示す。駒は省略。

盤の向きと、勝ちになる条件を先に確かめる

将棋は二人で交互に一手ずつ指し、相手の玉を詰ませることを目指します。「詰み」は、王手に対してどのように応じても玉を取られるのを防げない状態です。玉を実際に取り上げるまで続ける必要はありません。また、駒を多く持っているだけで勝ちになるわけでもありません。

盤は縦横9升ずつの81升です。先手側から見た右端を1筋、左端を9筋と呼び、向こう側から一段、二段と数えて手前が九段になります。「7六」は7筋の六段目という一つの住所です。盤を見ている自分の左右で座標を付け直すと相手と食い違うので、この記事の図では座標を固定します。

一人が使う駒は玉1枚、飛車1枚、角1枚、金2枚、銀2枚、桂2枚、香2枚、歩9枚の20枚です。二人分で40枚ですが、動きの種類は8種類です。「王」と「玉」は表記が違うだけで動きや役割は同じです。王を持った側が必ず先手になる、と覚えないようにしましょう。

S00 初期配置と初手。先手番。先手持駒:なし。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ▽香 ▽桂 ▽銀 ▽金 ▽玉 ▽金 ▽銀 ▽桂 ▽香
二 ・ ▽飛 ・ ・ ・ ・ ・ ▽角 ・
三 ▽歩 ▽歩 ▽歩 ▽歩 ▽歩 ▽歩 ▽歩 ▽歩 ▽歩
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ▲歩 ▲歩 ▲歩 ▲歩 ▲歩 ▲歩 ▲歩 ▲歩 ▲歩
八 ・ ▲角 ・ ・ ・ ・ ・ ▲飛 ・
九 ▲香 ▲桂 ▲銀 ▲金 ▲玉 ▲金 ▲銀 ▲桂 ▲香

初期配置では、手前の端から香・桂・銀・金・玉・金・銀・桂・香の順に並びます。その前の二段目に飛車と角、三段目に歩9枚が並びます。自分の側から見て飛車が右、角が左です。相手も相手側から同じように並べるため、先手視点の図では後手の飛車が左に見えます。

図S00の先手は2八に飛車、8八に角があり、後手は8二に飛車、2二に角があります。左右が逆に見えるのは誤配置ではありません。どちらの側から見た説明なのかを一度確かめると、後手の駒の向きも読みやすくなります。駒の所有者は色ではなく、向きや図の▲▽で区別してください。

一手でできることと、4手の教材を追う

自分の手番には、盤上にある自分の駒を一枚動かすか、持ち駒を一枚打つかを選びます。二つの操作を続けて行うことはできません。駒を動かした先に相手の駒があれば、その駒を取って自分の持ち駒にします。移動と捕獲を別々の二手に数える必要はなく、相手の駒があった升へ移ったところまでが一手です。

図S00では7七の歩を7六へ動かせますが、いきなり7五まで二升進めることはできません。また、8八の角を2二の角まで動かしたくても、途中の7七に自分の歩があります。角は斜めに遠くまで進める駒ですが、今の配置で通れるかどうかは別に確かめる必要があります。

次の4手を順に並べてみましょう。先手が7七の歩を7六へ、後手が3三の歩を3四へ動かします。続いて先手が8八の角で2二の角を取り、成ります。最後に後手が3一の銀で2二の成った角を取ります。これは操作を観察する教材で、序盤の最善手順を勧めているわけではありません。

手数 指す側 指した手 直後の持ち角
1 先手 7七→7六 先手0枚・後手0枚
2 後手 3三→3四 先手0枚・後手0枚
3 先手 8八→2二成 先手1枚・後手0枚
4 後手 3一→2二 先手1枚・後手1枚

S01 4手で見る移動・成り・取った成駒の復帰。先手番。先手持駒:角1枚。後手持駒:角1枚。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ▽香 ▽桂 ▽銀 ▽金 ▽玉 ▽金 ・ ▽桂 ▽香
二 ・ ▽飛 ・ ・ ・ ・ ・ ▽銀 ・
三 ▽歩 ▽歩 ▽歩 ▽歩 ▽歩 ▽歩 ・ ▽歩 ▽歩
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽歩 ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ▲歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ▲歩 ▲歩 ・ ▲歩 ▲歩 ▲歩 ▲歩 ▲歩 ▲歩
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▲飛 ・
九 ▲香 ▲桂 ▲銀 ▲金 ▲玉 ▲金 ▲銀 ▲桂 ▲香

最初の二手で7七と3三が空き、8八から2二へ向かう斜めの道が通ります。三手目の先手角は2二にある後手角を取るので、先手の持ち駒に角が一枚増えます。同時に敵陣へ入ったため、盤上の角を成った角である「馬」にできます。取った角の方まで成るわけではありません。

四手目は後手銀が馬を取り、2二へ移ります。後手が持ち駒にするのは馬のままではなく、元の角です。そのため図S01では双方が角を一枚ずつ持っています。盤上から消えたように見える駒も、持ち駒へ移ったと追えば数が合います。取った相手駒は、以後自分の向きで使います。

駒の枚数でも、この4手を検算できます。最初の二手では捕獲がないので盤上40枚のままです。三手目の捕獲後は盤上39枚と先手の持ち角1枚、四手目の捕獲後は盤上38枚と双方の持ち角各1枚になります。取った駒を盤の外へ捨てた扱いにすると、この合計が合わなくなります。成る操作では駒の種類が変わるだけで、枚数は増えません。

S01の先手は、持っている角を空いている5五へ打つことができます。最初から馬として打つことはできません。この「取られたら成りが戻る」「打った時点では成れない」という二点は、後で成りや持ち駒を学ぶ際の土台になります。途中で駒の種類が変わったら、盤と駒台の両方を更新して確かめてください。

手番と記録を取り違えないために

文章で手順を追うときは、「どこへ指したか」だけでなく、「どこにあった、どちらの駒を動かしたか」を読みます。S01の三手目と四手目はどちらも到着地点が2二ですが、先手の角と後手の銀で意味が違います。初心者同士なら出発地点も声に出して確認すると、説明している駒を取り違えにくくなります。

正式な棋譜には、直前と同じ升を表す「同」、成ることを示す「成」、成らない「不成」、持ち駒を使う「打」などの記号があります。この記事では最初から全記法を覚える必要はありません。ただし、後で手順を再現するために、手番・出発地点・到着地点・成ったか・打ったかを記録しておくと、盤面の変化を追えます。

駒の動きは「方向・距離・途中の駒」で見分ける

先手の金と銀の後方の動きを比べる模式図。5五の金は5六へ動け6六へは動けず、7五の銀は8六へ動け7六へは動けない。

玉・金・銀は一升の違いを見比べる

玉は縦・横・斜めの隣り合う一升へ動けます。中央にあれば形の上では8方向です。ただし、自分の駒がいる升や、相手の駒が利いている升へは進めません。盤の端では盤外にも進めないので、動ける升がいつも8個あるという意味ではありません。玉だけは移動先の安全まで必ず調べます。

金は前方の3升、左右の2升、真後ろの1升へ動きます。動けないのは斜め後ろです。銀は前方の3升と斜め後ろの2升へ動き、左右と真後ろには進めません。「どちらも斜めに動く駒」と一緒に覚えると、後ろへ動かしたいときに間違いやすい組み合わせです。

S02 金と銀の後ろ斜めを区別。先手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金3枚・銀3枚・桂4枚・香4枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ▲銀 ・ ▲金 ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S02の5五にある先手金を後ろへ戻すなら、5六は指せる升です。一方、6六は斜め後ろなので指せません。同じ図の7五にある先手銀では、8六は斜め後ろのため指せますが、7六は真後ろなので指せません。どの駒も一升動かしただけに見えるため、距離だけで判断してはいけません。

金と銀の違いは、横に逃げたいときにも現れます。金は左右へ動けますが、銀は動けません。逆に、銀の斜め後ろは金にはない動きです。駒の名前を見てから「前・横・後ろ」のどの方向かを確認すると、似た一升の動きを整理できます。この段階では、どちらが強いかを決めるより正確な移動を優先しましょう。

歩・香・桂は自分から見た「前」が基準

歩は一升前へ進む駒です。相手の駒を取るときも同じ一升前へ動きます。斜め前に相手駒があっても、歩の動きでは取れません。また、最初の一回だけ二升進める特別扱いもありません。初期配置の歩が並んだ列を見るときは、進む先の升が空いているか、相手駒か、自分の駒かを調べます。

香は前へ何升でも進めますが、後ろ・横・斜めには動けません。そして途中の駒を飛び越せません。相手の駒が途中にあれば、その駒の升まで進んで取ることはできますが、その奥まで一度に進むことはできません。「前へ長く進む歩」と考えると、進行方向は覚えやすくても、距離と障害物を見落とさずに済みます。

桂は前へ二段、横へ一筋ずれた升へ跳びます。先手なら上側に二つの候補がある形です。隣の斜め升へ動く駒ではありません。また、一度前に一升動かし、次に斜めへ動かす二段階の移動でもありません。出発地点と到着地点が決まった一回の跳躍です。

S03 桂馬は途中を飛び越す。先手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金4枚・銀4枚・桂3枚・香4枚・歩17枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ▲歩 ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ▲桂 ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S03では先手桂が5五にあり、その前の5四には先手歩があります。それでも桂は4三へ跳べます。桂は途中の駒を飛び越せるからです。4四は斜め前ですが、前へ一段しか進んでいないため桂の到着地点ではありません。間にいる歩を一度動かさなくてはならない、という制約もありません。

桂が飛び越せるのは途中の駒です。到着地点に自分の駒があれば、そこへは進めません。途中を無視できることを、着地点の条件まで無視できると取り違えないでください。S03の4三への移動は敵陣へ入るため、成るかどうかも選べますが、まず跳び先が正しいことを確認してから成りを考えます。

S04 後手の前は下向き。後手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金4枚・銀4枚・桂3枚・香4枚・歩17枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ▽桂 ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ▽歩 ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S04は後手番です。後手の桂は5三から4五へ跳べます。先手視点の盤では下向きに二段進んでいますが、後手本人から見れば前です。反対に5三から4一へは進めません。後手の歩も5四から5五へ進みます。図を読むたびに「上へ動く」と覚えると、後手の手を読んだときに逆になります。

先手か後手かを見失ったら、座標を左右反転するのでなく、駒の所有者と進行方向を確かめましょう。盤の住所は同じままで、先手は段の数が小さくなる方、後手は大きくなる方へ進みます。金や銀の「斜め後ろ」も所有者によって反対になるため、先手の形だけを裏返さずに使わないことが大切です。

飛車と角は、目的地までの道をたどる

飛車は縦横へ、角は斜めへ何升でも進めます。どちらも途中に駒があると、その駒を越せません。自分の駒があれば手前まで、相手の駒があればその升までが到達できる範囲です。遠くに目標が見えても、出発地点と目的地だけを見て判断せず、間の升を一つずつ確認します。

角の斜め移動は、横に一筋進むごとに縦にも一段進む関係です。たとえばS00の8八から2二までは両方とも六つずれるので同じ斜線上ですが、その斜線に歩がいるため最初は通れません。方向が正しいことと道が空いていることの両方がそろって初めて、その長い移動が可能になります。

S05 飛車は味方駒を越せない。先手番。先手持駒:飛1枚・角2枚・金4枚・銀4枚・桂4枚・香4枚・歩16枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ▽歩 ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ▲歩 ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ▲飛 ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S05の先手飛車は5八にあります。5七は空いているので進めますが、5六には自分の歩があります。したがって、その先の5五まで進む手は指せません。5五自体が空いていても、通過できない升が一つあるだけで移動は止まります。自分の歩を取って道を開ける、という操作もできません。

S06 相手駒は取れるが越せない。先手番。先手持駒:飛1枚・角2枚・金4枚・銀4枚・桂4枚・香4枚・歩17枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ▽歩 ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ▲飛 ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S06では途中の先手歩を外し、5四の後手歩までの道を空けています。この場合、5八の飛車で5四の歩を取れます。飛車は5四に移り、先手の持ち歩が一枚増えます。しかし、歩を飛び越して5三へ進むことはできません。相手の駒を取ることは、そこを通り抜ける許可ではないからです。

S05とS06を比較すると、飛車そのものの動き方は変わっていません。変わったのは途中にいる駒です。長い移動を確認するときは、最初に出会う駒が誰の駒か、その手でどこに止まるかを答えると判断しやすくなります。取りたい駒の奥に別の目標があっても、一手で二枚まとめて取ることはできません。

8種類の動きは日本将棋連盟の「駒の動きと特徴」でも確認できます。ここまでの移動が正しくても、自分の玉を王手にさらす手は指せません。玉の安全は後の章で具体的に見ます。

成る条件と成れない手を具体例で確かめる

S07の別々の一手で見る成りの模式図。銀5四から4三成、銀7三から6四成、角3三から4二成を、敵陣への進入・退出・域内移動に分ける。

敵陣へ入るときだけでなく、出るときも成れる

「成る」とは、駒を裏返して動き方を変えることです。成ることができるのは飛車・角・銀・桂・香・歩の6種類で、玉と金は成りません。先手にとって敵陣は一段から三段、後手にとっては七段から九段です。盤の真ん中の三段を越えたかという見た目だけでなく、どちらの駒の敵陣かを確かめます。

成れるかどうかは、その駒を動かす前か動かした後の少なくとも一方が敵陣にあるかで調べます。敵陣へ入る手、敵陣の中を動く手、敵陣から出る手が対象です。敵陣を通り抜ける感覚で判断せず、出発地点と到着地点を見ます。もちろん、駒の本来の動き方や玉の安全を守っていることが前提です。

S07 成れる入口・出口・域内。先手番。先手持駒:飛2枚・角1枚・金4枚・銀2枚・桂4枚・香4枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉 ・
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ▲銀 ・ ・ ・ ▲角 ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ▲銀 ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S07の先手銀5四を4三へ動かす手は、敵陣へ入る手なので成れます。7三の銀を6四へ動かす手は敵陣から出る手ですが、出発地点が敵陣内なので同じく成れます。3三の角を4二へ動かす手は両方とも敵陣内です。三つとも条件を満たしますが、成れる理由の見方は少しずつ違います。

一方、5四の銀を4五へ動かすときは成れません。銀の斜め後ろへの移動自体はできますが、出発地点も到着地点も先手の敵陣ではないからです。「盤の向こうへ近づいている」「前に一度敵陣へ入ったことがある」といった感覚は、その手の成りの条件を代わりに満たしてくれません。

成れる手でも、通常は成らずに指すことを選べます。これを不成といいます。一度不成を選んでも、後の手で再び条件を満たせば成れます。ただし、すでに成った駒を自分の手で元へ戻すことはできません。移動するたびに表裏を自由に選べる仕組みではないため、成った後の動きも確かめておきましょう。

成ると増える動き、置き換わる動き

飛車が成ると竜になり、元の縦横の長い動きに、斜め一升の動きが加わります。角が成ると馬になり、元の斜めの長い動きに、縦横一升の動きが加わります。竜も馬も全方向へ何升でも進める駒になるわけではありません。元から長く進めた方向と、追加された一升の方向を区別します。

S22 竜と馬の追加1升は長距離ではない。先手番。先手持駒:飛1枚・角1枚・金4枚・銀4枚・桂4枚・香4枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ▲馬 ・ ▲竜 ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S22の5五の竜は6四へ斜め一升動けますが、6三へは動けません。6三は縦横の同じ筋・段でも斜め一升でもない升だからです。7五の馬は8五へ横一升動けますが、9五まで横に二升進むことはできません。追加の動きを「少しだけ」と曖昧に覚えず、一升と決めて確認します。

銀・桂・香・歩は、成ると金と同じ動きになります。歩が成った駒は「と金」と呼びます。元の動きに金の動きを上乗せするのではなく、金の動きへ置き換わります。そのため、成った桂は二段先へ跳べず、成った香も前へ何升も進めません。成ったことを見落として元の長い移動を続けると反則になります。

銀の場合は、成ると横と真後ろへ動けるようになる一方、元の銀にあった斜め後ろへの移動がなくなります。成ることで全ての動きが増えるわけではない、という点が大事です。どちらが有利かはその局面で判断しますが、ここでは戦術上の優劣を決めず、成った後に指せる方向が変わることを確認してください。

成らなければ指せない場所がある

不成を選べる原則には、動けなくなる場所へ進む場合の制約があります。先手の歩と香は一段目へ進むと、そのままでは次に進める升がなくなります。このような手では成りが必要です。「もう端に着いたから動かせなくてもよい」として、未成の駒を置いておくことはできません。

S08 歩と香の最奥では成り必須。先手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金4枚・銀4枚・桂4枚・香3枚・歩17枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ▲香 ・ ▲歩 ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S08では5二の先手歩を5一へ進める手、7二の先手香を7一へ進める手が該当します。どちらも成って指すことはできますが、不成では指せません。駒の進行方向をたどると、未成のままでは盤外へ進むしかなくなると分かります。先ほどのS07のように自由に選べる成りとは、扱いが異なります。

桂は前へ二段跳ぶため、先手では一段目だけでなく二段目も未成では行き所がなくなります。一段目までまだ一升残っているように見えても、桂は一升前へ進む駒ではありません。今の駒の動き方で次に盤内へ動けるかを考えると、歩・香より一段早く成りが必要になる理由が分かります。

S09 桂の最奥2段と後手の対称。先手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金4枚・銀4枚・桂2枚・香4枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ▲桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ▲桂 ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S09の5四桂を4二へ跳ねる手は成りが必要です。7三桂を6一へ跳ねる手も同じです。いずれも成れば金の動きになるので、端から横や後ろへ動く選択肢が残ります。二つの例を並べて、一段目だけが禁止なのではなく、桂には最奥の二段という範囲があると確認しましょう。

S23 後手の成り必須も相手側から数える。後手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金4枚・銀4枚・桂3枚・香3枚・歩17枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ▽桂 ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽香 ・ ・
八 ・ ・ ▽歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

後手では盤の下側が敵陣なので、歩・香が九段目へ進む手、桂が八段目または九段目へ進む手で成りが必要です。図S23では5六の後手桂から4八、7八の後手歩から7九、3七の後手香から3九の三つを比較できます。全て成りなら指せますが、不成では指せません。先手の「上端」という言葉をそのまま当てはめないでください。

この制約は、進む升に駒があるかどうかとは別です。目的の升が空いていても、未成では行き所を失うため指せません。また、敵陣だから何でも成れるわけでもありません。玉と金は成れず、持ち駒を打つときも成れません。移動の可否、成れる種類、敵陣との関係、成り必須の順に切り分けると混乱を減らせます。

成りと打ち駒の基本は日本将棋連盟の「駒の動かし方」も参照してください。競技での反則の扱いは現行対局規則を優先します。

持ち駒を打つ前に二歩・行き所・打ち歩詰めを調べる

S12とS13の部分図で、先手が5二へ歩を仮置きした比較。S12は打ち歩詰めの反則例、S13は6一が空いて後手玉が逃げられる。盤外の駒と持駒は本文に示す。

空いている升でも打てない場合を見つける

取った相手駒は、後の自分の手番に盤へ打てます。打つ駒は移動元の升を持たず、駒台から空いている升へ置くことで一手になります。既に自分または相手の駒がある升へ重ねることはできません。相手駒のいる升へ持ち駒を置いて、その相手駒を取るという使い方もできません。

「持ち駒だからどこからでも攻められる」と考える前に、空升であること、駒がその場所で行き所を失わないこと、自分の玉を危険なままにしないことを確認します。歩を打つ場合は、さらに同じ筋に自分の未成歩がないかと、打った手で相手玉を詰ませていないかが重要になります。

S10 二歩・と金・駒のある場所。先手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金4枚・銀4枚・桂4枚・香4枚・歩15枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ▲と ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ▲歩 ・ ▽歩 ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S10には5五の先手歩があります。この状態で持ち歩を5四へ打つと、同じ5筋に自分の未成歩が二枚になるため二歩です。二枚が隣り合っているか、遠く離れているかは関係ありません。確認する方向は横の段ではなく、縦の筋です。離れた位置の自分の歩も見落とさず探してください。

同じ図の7三には先手のと金があります。と金は成った歩なので、7四へ歩を打つことを二歩の理由では禁止しません。見た目や元の出自だけで歩を数えるのではなく、今盤上で未成の歩なのかを調べます。「この筋には歩から生まれた駒があるから全部禁止」と覚えると、指せる手まで除いてしまいます。

3五にあるのは後手の歩です。先手が3四へ歩を打つと、同じ3筋に二枚の歩が並びますが、所有者が違うので先手の二歩にはなりません。ただし、3五の升そのものへ金を打つ手は、相手の歩が既にいるため指せません。同じ図の中でも、二歩の条件と占有升の条件は別々に判断します。

打つ手では成れないため、端の升に注意する

盤上の駒を動かす場合、端へ進む際に成ることで行き所を確保できます。しかし、持ち駒を打った手では成れません。したがって、打った直後に未成のまま動けなくなる場所へは置けません。成るつもりで置いたからよい、という扱いにはならない点が、前章の移動の例との違いです。

S11 打駒の行き所と成駒打ち禁止。先手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金4枚・銀4枚・桂4枚・香4枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S11で先手の歩や香を5一へ打つ手は指せません。桂を5二へ打つ手も指せません。一方、5三への桂打ちは、先手桂がそこから4一または6一へ動く形があるため、行き所のない駒の理由では禁止されません。この図では他の条件も満たすので実際に合法な候補です。

5三は敵陣内ですが、歩をそこへ打つときに、と金の向きで置くことはできません。まず歩として打ち、後の自分の手番でその歩を動かすときに成りの条件を確認します。相手がその間に指す一手を飛ばして、打った直後に続けて成る操作を行わないようにしましょう。

後手側でも考え方は同じで、先手側の奥に当たる九段目へ歩・香を打ったり、八・九段目へ桂を打ったりすることはできません。盤の上下だけを覚えるより、今打つ駒の未成の動きで、次に盤内へ進む場所があるかを確認します。敵陣内であることと、打ってよいことは一致しません。

打ち歩詰めと、指してよい歩の王手を区別する

持ち歩を打ったその手で相手の玉を詰ませる「打ち歩詰め」は反則です。ただし、歩を打って王手をかける行為そのものが禁止されているわけではありません。相手に王手を防ぐ合法な応じ方があれば、打ち歩詰めではありません。次の三つは、歩が5二へ来るように見えても判定が変わる教材です。

S12 歩を打って即詰みは不可。先手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金3枚・銀4枚・桂4枚・香2枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ▽香 ▽玉 ▽香 ・ ・ ・
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ▲金 ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S12では後手玉が5一、後手香が4一と6一、先手金が5三にあります。先手が5二へ歩を打つと、その歩が5一玉へ王手をかける形になります。後手玉が横の4一や6一へ逃げようとしても、そこには自分の香があります。盤外へは逃げられないため、二段目の升も調べる必要があります。

4二・5二・6二は5三の先手金が利いています。玉で5二の歩を取ろうとしても金に取られるので、安全な応手にはなりません。後手の香は5二の歩を取れる動きではなく、歩は玉のすぐ前から王手をかけているため間に合駒をする升もありません。後手に持ち駒がないことも図の条件です。

この条件では王手を解除する合法手がなく、5二歩打ちは打ち歩詰めになります。したがって、その手を合法な続きとして進めてはいけません。ここで歩を置いた後の形を考えたのは、反則になる理由を調べるためです。「詰ませられたから勝ち」と判定する前に、その詰ませ方が許される手だったかを確認します。

S13 逃げ道がある歩打ち王手は可。先手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金3枚・銀4枚・桂4枚・香3枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ▽玉 ▽香 ・ ・ ・
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ▲金 ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S13は6一の後手香を取り除き、代わりに先手の持ち駒へ移した構成教材です。他の関係はS12と同じで、5二への歩打ちは王手になります。しかし今度は後手玉が6一へ逃げられます。5三の先手金も5二の先手歩も6一を攻撃していないため、ここは安全な移動先です。

この図では5二歩打ちの後の合法応手は6一玉の一手です。逃げ道が一つでも存在すれば、その時点では詰みではありません。歩を打ったという操作も、王手になったという結果もS12と同じですが、応手の有無が変わったことで打ち歩詰めにはならなくなります。一升の違いが判定を変える点を見比べてください。

S14 盤上の歩を進める詰みは可。先手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金2枚・銀4枚・桂4枚・香2枚・歩17枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ▽香 ▽玉 ▽香 ・ ・ ・
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ▲金 ▲歩 ▲金 ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S14では先手の歩が最初から5三にあり、4三と6三に先手金があります。この歩を5二へ進めると王手になり、後手は逃げることも歩を取ることもできず詰みます。しかし、これは持ち駒の歩を打った手ではありません。盤上の歩を進めて詰ませる、いわゆる突き歩詰めは、打ち歩詰めの禁止には当たりません。

三つの図を区別する情報は、詰みになった後の歩の位置だけでは足りません。持ち駒から打ったのか、盤上から進めたのかという手の内容と、相手に応手があるかの両方が必要です。反則の名前を暗記しただけで判断しようとせず、歩の出発場所と相手の逃げ方をセットで確認しましょう。

二歩・打ち歩詰め・突き歩詰めの区別は日本将棋連盟の「反則について」を参照しています。次の章では、王手を防ぐ手をどう探すかを詳しく見ます。

王手の受け方と詰みを盤面で判断する

S15の王手への応手を3種類で示す模式図。4六角で5五飛を取る、5九玉が4九へ逃げる、5七へ金を打って遮る。それぞれ別の一手で、合法応手はこの3手に限らない。

「取る・逃げる・遮る」の三つの種類を探す

王手をかけられたときは、自分の玉を取られない状態にする手を指さなければなりません。別の場所で相手の大駒を取れるとしても、その手で王手が解消しないなら指せません。自分も王手をかけ返せそうというだけでは、既に受けている王手を放置してよい理由にはなりません。

王手への応じ方は、王手をかけている駒を取る、玉を安全な升へ逃がす、攻撃の線の間へ駒を入れる、という三つの種類から探せます。ただし、全ての王手で三種類とも使えるとは限りません。一つの種類の中に複数の合法手がある場合もあります。次の図は種類の比較であり、応手が三手だけという意味ではありません。

S15 王手を取る・逃げる・遮る。先手番。先手持駒:飛1枚・角1枚・金4枚・銀4枚・桂4枚・香4枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ▽飛 ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ▲角 ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ・ ・ ・ ・ ▲玉 ・ ・ ・ ・

図S15は先手番で、5五の後手飛車が5九の先手玉へ王手をかけています。先手の4六角を5五へ動かすと、王手をかけている飛車を取れます。飛車が盤からなくなるので、5筋の王手は解消します。取りに行く駒が本来の動きで届き、取り終えた後に別の王手が残っていないことも確認します。

S15で角が5五へ移った後は、その角から4四・3三・2二を経て1一の後手玉へ斜めの道も通ります。つまり、この応手は自分への王手を解消すると同時に、相手へ王手を返す手でもあります。王手に対して王手を返すことが一律に禁止なのではありません。先に自分の玉への攻撃が止まっているかを確かめることが、王手放置との分かれ目です。

玉を逃がす方法では、5九から4九へ動かす手があります。飛車のいる5五と縦横の線が重ならなくなるため、その飛車からの王手を避けられます。ただし、一般には逃げた升を別の相手駒が攻撃している場合があります。この図で安全と確認できた4九を、違う配置の図にもそのまま当てはめないでください。

持ち駒の金を5七へ打つ手も指せます。飛車から玉までの5筋に金が入り、飛車は金を飛び越して玉へ届かなくなります。このように攻撃の線を遮る駒を合駒と呼びます。王手が解消するので合法ですが、その金を相手に取られる可能性や局面の優劣は別の話です。合法であることと、最善であることは分けて考えます。

同じ金を4八へ打つ手では5筋の線が開いたままです。玉の近くへ守りの駒を置いたように見えても、今かかっている王手を防げていません。合駒を考える際は、玉の近所かどうかでなく、王手駒と玉を結ぶ線上のどの升を塞ぐかを具体的に指でたどってみましょう。

S15の「合駒」は、金を5七へ打つ一手だけではありません。飛車の5五と玉の5九の間にある空き升は、5六・5七・5八の三つです。この図の先手は飛・角・金・銀・桂・香・歩の全7種類を持っており、どの種類も、この三つの升へそれぞれ打てます。持ち駒の枚数は種類によって違いますが、同じ種類を同じ升へ打つ選択を、駒台にある枚数だけ別の手として数えることはしません。

歩をこの三升へ打てる理由も、S15の駒配置から確かめられます。盤上に先手の未成の歩がないため、5筋に打っても二歩にはなりません。5六・5七・5八はいずれも先手の歩・香・桂が行き所を失う段ではありません。また、ここに打つ歩は1一の後手玉へ王手をかけないので、打ち歩詰めにも当たりません。打つ瞬間に敵の飛車を取る操作はなく、空き升に置いて5筋を遮る手です。

盤上の4六角を5七へ引く方法でも、同じ飛車の線を遮れます。これは持ち角を打つ手とは別で、4六の升を空けて盤上の角を動かす応手です。4六角から、ほかの遮断升である5六や5八へは斜めの移動にならないため進めません。この角が王手を解消できる行き先は、飛車を取る5五と、間に入る5七の二つです。どちらも出発地点と到着地点が敵陣の外なので、成る選択は増えません。

玉を動かす場合は、5九から隣接する盤内の五升を調べます。4八・6八・4九・6九は5五飛車の縦横の利きから外れ、1一の後手玉からも離れているため移れます。残る5八は5筋上で飛車の利きが続くので移れません。持ち駒を打つ21手、盤上の角を動かす2手、玉を動かす4手を合わせ、このS15で王手を解消する合法手は27手です。これは図の全持ち駒を含めて調べた数で、王手なら常に27手あるという規則ではありません。

駒の動きが正しくても、玉の前を空けてはいけない

王手に関する失敗は、すでに王手をかけられた場面だけで起こるわけではありません。自分の駒を動かしたことで、隠れていた相手の飛車や角の線が自玉まで通る場合があります。そのように自分の玉を王手にさらす手も指せません。移動させたい駒だけでなく、動いた後に空く升の意味を見る必要があります。

S16 動ける銀でも玉の前を空けられない。先手番。先手持駒:飛1枚・角2枚・金4枚・銀3枚・桂4枚・香4枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ▽飛 ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ▲銀 ・ ・ ・ ・
九 ・ ・ ・ ・ ▲玉 ・ ・ ・ ・

図S16では5九に先手玉、5八に先手銀、5一に後手飛車があります。最初は銀が間を塞いでいるので、先手玉に王手はかかっていません。しかし5八銀を4七へ動かすと、5筋から銀がいなくなり、飛車の利きが玉へ通ります。銀の斜め前という動きは正しくても、この手は指せません。

同じ銀を5七へ動かす手なら、銀が引き続き5筋を塞いでいます。この図では自玉への飛車の線を遮ったままなので合法です。「玉の前にいる駒は一切動かせない」と覚えるのでなく、移動後にも遮断が続くかを確かめてください。禁止される方向と、動ける方向を区別する練習になります。

銀を動かした後を想像するときは、出発地点の駒を消し、到着地点に置き直してから盤を見ます。出発地点に銀が残ったままの頭の中の図では、王手が通ることに気づけません。駒を取る手であれば相手駒も除いて、成る手であれば動き方も変えてから、自分の玉へ届く相手の攻撃を確認します。

桂の王手と、守られた王手駒に注意する

S17 桂の王手には間の合駒が効かない。先手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金4枚・銀4枚・桂3枚・香4枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ▽桂 ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ・ ・ ・ ・ ▲玉 ・ ・ ・ ・

図S17では4七の後手桂が5九の先手玉へ王手をかけています。4八へ金を打っても、この王手は防げません。桂は飛車のように途中の升を順に通る駒ではなく、4七から5九へ跳ぶからです。桂と玉の間にありそうな升へ駒を置いても、その跳び先が変わるわけではありません。

この図では先手玉を4九へ逃がす手が合法です。桂の王手に合駒が効かないからといって、常に詰みとは限りません。玉の安全な移動先や桂を取れる駒があるかを、別の種類の応手として調べます。王手駒の動き方が違うと、使える受け方の種類も変わることを確かめましょう。

S17では、後手桂の跳び先を先に二つ書き出すと、逃げ道の理由がはっきりします。4七から後手の前方へ二段、横へ一筋なので、利きは3九と5九です。先手玉の行き先である4八・5八・6八・4九・6九には、その二升は含まれていません。1一の後手玉の利きも届かないため、この図では五つとも合法な逃げ先です。S15で使えなかった5八も、攻撃している駒と配置が変わったS17では使えます。

この図で先手の盤上にある駒は玉だけです。5九の玉から4七の桂へは一手で届かず、ほかの盤上の駒で桂を取る選択もありません。持ち飛車などを4七へ打って取ろうとしても、そこには後手桂がいるため打てません。空き升へ持ち駒を打っても、桂の跳躍そのものは遮れません。したがって、このS17の応手は先ほどの玉の移動5手に限られ、豊富な持ち駒があっても合駒の手数は増えません。

S21 守られた駒を玉で取ってはいけない。先手番。先手持駒:飛1枚・角2枚・金3枚・銀4枚・桂4枚・香4枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ▽金 ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ▽飛 ・ ・ ・ ・
九 ・ ・ ・ ・ ▲玉 ・ ・ ・ ・

図S21では5八の後手飛車が5九の先手玉へ王手をかけています。玉は隣の5八へ動ける形なので、その飛車を取りたくなるかもしれません。しかし4七の後手金が5八を守っています。玉で飛車を取って5八へ移ると、今度は金に取られる位置になるため、その捕獲は合法な応手になりません。

相手の王手駒が消えれば安全、とは限らない点が重要です。この図では6九へ逃げる手が使えます。飛車を取り除く図と、玉を別の升へ移す図をそれぞれ作り、移動後の玉に対して残った相手駒の利きを調べてください。目の前の大きな駒に注目しすぎると、後ろで支える小駒を見落としやすくなります。

S21の玉の隣接升も、4八・5八・6八・4九・6九の五つです。4八と6八は5八飛車の横の利きが届くため、玉を逃がせません。4八には4七金の前方の利きもあります。5八の飛車を玉で取る候補では、飛車を盤から除いた後に4七金の斜め前の利きが残るため、やはり不可です。一方、4九と6九は飛車の筋にも金の利きにも入らず、この二つが合法な逃げ先になります。

S15と違って、S21の5八飛車と5九玉は隣り合っています。二つの升の間に空き升がないので、先手の持ち駒を打って飛車の線を遮る場所はありません。飛車のいる5八へ打つことも、相手駒のいる升へ打つことになるためできません。盤上の先手駒も玉だけなので、別の駒を動かして飛車を取る方法は残っていません。「守られた飛車を取れない」だけで詰みとせず、4九・6九への二つの逃げを残して結論を出します。

合法な応手がなくなったときが詰み

S18 金を打つ一手詰み。先手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金3枚・銀4枚・桂4枚・香2枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ▽香 ▽玉 ▽香 ・ ・ ・
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ▲金 ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

図S18で先手が金を5二へ打つと、後手玉は詰みます。後手玉の横の4一と6一には後手自身の香があり、下側の4二・5二・6二は先手の金が押さえています。打たれた金を玉で取ろうとしても5三の先手金が守っています。後手の香では5二の金を取れず、後手持ち駒もありません。

後手にできる合法な応手を調べると、この図では一手もありません。S12の歩打ちと似た包囲形ですが、今回は打った駒が金です。自分の玉を危険にさらすなど別の反則にも当たらないため、合法な詰みになります。「持ち駒を打って詰ませること」が全部禁止なのではなく、打ち歩詰めという特定の条件が禁止されています。

詰みかどうかを調べるときは、玉の移動先だけを数えて終わらせないようにしましょう。王手駒を他の駒で取れる場合や、持ち駒を合駒できる場合が残っていれば、玉がその場から動けなくても詰みではありません。逆に、取り方や遮り方を考える際も、実行後に自玉が安全になるかまで確認が必要です。

ここで使った図は、盤上と双方の持ち駒を明示した本将棋の構成教材です。詰将棋の問題で使われる「残りの駒を玉方が持つ」といった別の約束を、勝手に追加していません。持ち駒の条件が違えば合駒の選択肢も変わるため、似た形を別の問題で見かけたときは、その問題の約束も読み直してください。

王手を防ぐ方法は日本将棋連盟の「王手と詰み」でも解説されています。王手と声をかけること自体は義務ではありません。発声の有無ではなく、実際の盤面で玉が攻撃されているかを確かめましょう。

対局を終える条件と迷った手の確認方法

S19とS20の0・4・8・12手後の同一状態4回を確認する図。盤上配置・双方持駒・手番を比較し、S19の王手なしとS20の先手全6着手の王手を区別する。全12手の履歴は本文に示す。

詰みと投了は別の終わり方

対局は詰みによって終わるほか、片方が負けを認めて投了することでも終わります。投了は対局者の意思表示なので、盤面だけを見て「この人はもう投了した」と決めることはできません。駒が少ない側でも、まだ指し続けているなら、その時点で勝敗が決まったとは限りません。

初心者同士では、何が詰みなのかを確かめながら指す経験も大切です。ただし、対局中に勝手に手を戻したり、外から助言を受けたりしてよいという意味ではありません。練習の約束と大会の競技規定を混ぜず、終わった後に気になった局面を再現して、どの候補が合法だったかを確認すると学びを残せます。

千日手は「同じ盤面が見えた」だけでは決められない

千日手の同一局面は、盤上の駒の配置、双方の持ち駒、手番の三つが全て一致している状態です。その同一局面が4回現れることが基本の条件です。二度似た図を見ただけでは足りませんし、盤上が同じでも片方の持ち歩が一枚増えていれば同一局面ではありません。

手番も判定の一部です。全く同じ駒配置と持ち駒であっても、先手番の図と後手番の図では、次に指せる側が違います。位置だけを撮った写真では手番が分からないことがあります。そのため、千日手を考えるには、図に加えて手順や対局記録を確認する必要があります。

S19 同一局面4回には履歴が要る。先手番。先手持駒:飛2枚・角2枚・金2枚・銀4枚・桂4枚・香4枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ▽金 ・ ▽玉
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ▲金 ・ ・ ・ ・ ・ ・
手数 指す側 指した手 指した後の王手 開始局面と同一
0 先手番 開始 なし 1回目
1 先手 7九→7八 なし 一致しない
2 後手 3一→3二 なし 一致しない
3 先手 7八→7九 なし 一致しない
4 後手 3二→3一 なし 2回目
5 先手 7九→7八 なし 一致しない
6 後手 3一→3二 なし 一致しない
7 先手 7八→7九 なし 一致しない
8 後手 3二→3一 なし 3回目
9 先手 7九→7八 なし 一致しない
10 後手 3一→3二 なし 一致しない
11 先手 7八→7九 なし 一致しない
12 後手 3二→3一 なし 4回目

図S19では先手金を7九から7八、後手金を3一から3二、先手金を7八から7九、後手金を3二から3一へ動かす4手を繰り返します。4手が終わると両方の金が元の升へ戻り、持ち駒も変わらず、再び先手番になります。どの手も王手をかけていません。

最初の状態を一回目として数えると、4手後が二回目、8手後が三回目、12手後が四回目です。12手指したから自動的に千日手になるのではなく、この手順で同一状態がその間隔で再現するからです。通常の千日手は先後を入れ替えて指し直す扱いで、持ち時間などの詳細は棋戦や大会の規定に従います。

盤上の駒が同じ場所へ戻っても、途中で駒を取って双方の持ち駒が変わっていたり、同じ配置が違う手番で現れたりする場合は、その図だけを同じ一回に足せません。S19の表では持ち駒に変化がないことを追えます。実際の記録を調べる際も、盤上の配置だけを切り取らず、この三条件をそろえて比較してください。

連続王手の千日手は王手を続けた側の反則

S20 連続王手の千日手。先手番。先手持駒:飛1枚・角2枚・金4枚・銀4枚・桂4枚・香4枚・歩18枚。後手持駒:なし。

段 9 8 7 6 5 4 3 2 1
一 ・ ・ ・ ・ ▽玉 ・ ・ ・ ・
二 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
三 ・ ・ ・ ・ ・ ▲飛 ・ ・ ・
四 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
五 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
六 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
七 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
八 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
九 ▲玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
手数 指す側 指した手 指した後の王手 開始局面と同一
0 先手番 開始 なし 1回目
1 先手 4三→5三 あり 一致しない
2 後手 5一→4一 なし 一致しない
3 先手 5三→4三 あり 一致しない
4 後手 4一→5一 なし 2回目
5 先手 4三→5三 あり 一致しない
6 後手 5一→4一 なし 一致しない
7 先手 5三→4三 あり 一致しない
8 後手 4一→5一 なし 3回目
9 先手 4三→5三 あり 一致しない
10 後手 5一→4一 なし 一致しない
11 先手 5三→4三 あり 一致しない
12 後手 4一→5一 なし 4回目

図S20では先手飛車を4三から5三へ動かすと王手になり、後手玉は5一から4一へ逃げます。次に飛車を5三から4三へ戻すと再び王手になり、後手玉は4一から5一へ戻ります。この4手を繰り返すと、やはり開始時と4手・8手・12手後の局面が一致します。

表S20は、両者が記載された応手を選んだ場合の履歴です。後手がどの逃げ方を選んでも必ずこの4手へ戻ると証明したものではありません。たとえば対局記録を調べるときも、飛車が追っている見た目から循環を予想するだけでなく、実際にどの手が指されたかをたどります。繰り返しが起こりそうな形と、既に同じ状態が4回現れた記録を区別しましょう。

S19との違いは、繰り返しの間にある先手の全ての手が王手である点です。この条件で同一局面が4回現れると、王手を続けた先手が連続王手の千日手による反則負けになります。王手をかけているから攻めている側が得をする、と判定してはいけません。通常の指し直しとは結論が変わります。

S20の四回目に数えた図は、後手が王手を避けて元へ戻り、先手番になったところです。その瞬間の先手玉にも後手玉にも王手はかかっていません。それでも、繰り返した手順の中で先手の手が全て王手だったため、履歴を合わせれば連続王手の千日手と分かります。最終図に王手の印がないことだけでは否定できません。

連続王手かどうかを調べる際には、各手の後でどちらの玉に王手がかかっていたかを記録します。盤が同じになるまでの途中に王手でない先手の手があれば、この記事のS20と同じ条件とは言えません。違う履歴まで同じ判定にまとめず、公式規則と実際の手順を対応させて考えましょう。

特別な終局条件と、次の練習の入口

互いの玉が相手陣へ進む入玉などでは、持将棋や入玉宣言に関する規定が関係します。採用する方式によって数え方や結論が変わる場合があるため、「玉が敵陣へ入ったら勝ち」「駒を何点持てばどこでも同じ結果」と一つの数字だけで覚えないでください。大会やアプリが明示する適用規定を確認するのが先です。

対局時計を使う場合は、持ち時間や秒読み、指した手の完了と時計の操作も勝敗に関わります。盤上のルールを学ぶ練習と、時間制限のある競技は条件が異なります。初めて参加する場では、時間設定、千日手や入玉の扱い、反則を確認する担当者をあらかじめ確かめると、盤外の取り決めで戸惑うことを減らせます。

一局を振り返るときは、迷った手を一つだけ取り出し、その前の配置と双方の持ち駒を復元してみましょう。出発地点と到着地点、成ったか、打ったかを記録すると、方向の誤り、途中の障害物、成り条件、玉の安全のどこでつまずいたかを特定できます。単に「この手はだめだった」と覚えるより、別の配置でも理由を使えるようになります。

詳細な裁定は日本将棋連盟の現行対局規則と、その大会・アプリの規定を確認してください。本教材は練習や終局後の振り返りで利用し、外部助言が禁じられた対局中の使用は避けてください。

ほかの遊びも探したい方は、人数や端末条件を比較した友達とできるスマホゲームも参考になります。18歳以上のiPhone利用者で、会話や別のミニゲームも検討したい場合はTopTopの遊び方と利用前の確認点をご覧ください。TopTopで本将棋を遊べることや、この記事の教材をそのまま試せることは確認していません。

まずはS00の配置から、駒を一枚動かした後に手番・盤上・持ち駒がどう変わったかを確かめてみてください。成りや打ち駒で迷ったら、該当する対比図へ戻り、一つの条件の違いを説明できるか試してみましょう。