棚卸が合わない原因は?棚間移動と販売を同じ時点で照合
※本記事にはPRを含む場合があります。
こんにちは。『脱会社員』脱サラを応援し続けるブログ、運営者の『なかびー』です。
棚卸をして在庫管理表と数量を比べたら、合計が合わない。数え直す前に「商品がなくなったのだろうか」「管理表を実数へ直すべきだろうか」と悩むことがあります。
数量が違う理由は一つではありません。棚の数え漏れや単位の取り違えだけでなく、棚を数える間に商品が別の場所へ移り、同じものを二度数えた可能性もあります。さらに途中で販売があれば、事業全体の数量そのものも変わります。
この記事では、A棚とB棚にある同じ商品を例に、棚間の移動だけがあった場合と、その後に販売があった場合を比較します。異なる時刻に数えた値をいったん残し、9時時点と9時15分時点のそれぞれに合わせて、何個と考えられるかをたどります。
時刻、数量、商品、記録はすべて説明用の架空例です。実際の作業で移動や販売があったかどうかは、現品と記録、関係者への確認が必要です。差を発見しただけで、紛失・盗難・帳簿の誤りを断定したり、数字を合わせるためだけに管理システムを上書きしたりしないようにしましょう。
最初に分けるのは、数えた値と、計算でそろえた値です。 どの棚を何時に数え、その後に何が動いたかが分かれば、比較する時点に合わせて確認できます。分からない動きは、分からないまま残します。
棚卸が合わないときは、数えた場所と時刻を分ける

「同じ商品」「同じ単位」「同じ範囲」を決める
在庫表の数量と現物を比べるには、何を数えるかをそろえる必要があります。同じ見た目でも品番、色、サイズ、販売可能かどうかが違うものを一つにまとめると、差の意味が分かりにくくなります。箱数と個数、セットと単品も、そのまま足さずに区別します。
架空例で数えるのは、A棚とB棚に置かれた、同じ品番で同じ状態の商品です。単位は「個」、二つの棚を合わせた範囲を確認対象とします。対象に含む場所が違えば、同じ移動でも全体にとっての意味が変わります。例えばA棚だけを対象にするなら、AからBへの移動はAの範囲から出ていく動きです。
商品をどこまで自店の在庫に含めるか、返品や取り置き、外部に預けた品をどう扱うかは、取引の状態や管理ルールを確認してください。現物が棚にあるという事実と、比較対象の在庫に含まれるかは、必ずしも同じ問いではありません。この記事の計算例では対象範囲を単純にするため、A棚とB棚の商品をすべて同じ対象に含めます。
セット商品を単品に分けて販売する事業では、セットを一つとして数える棚と、構成品を個数で数える棚が混在することもあります。例えば、同じ商品が箱のまま置かれているときは、その箱を一個と数えるのか、開封して中の商品を数えるのかを決めます。箱の入り数を掛ける必要がある場合も、実際の入数を確認し、開封済みの端数と分けます。
どの換算を使ったかを書かずに数量だけを転記すると、同じ「10」という数字が箱数なのか中身の個数なのか分からなくなります。記事の架空例では換算の必要がないよう、対象を同じ品番の単品に限定しました。自店の表で箱と個を使う場合は、単位の違いを解消してから同じ時点の数量を比較します。
数えた値と、表に記された値を別々に残す
実地で「A棚に10個あった」と数えた値は、その棚を確認した時刻の観測です。帳簿や在庫管理システムの数量は、入力された入荷や販売、移動などをもとに表示された記録上の値です。どの時点の表示か、どの動きまで反映されているかを確認しなければ、異なる時刻の数字を比べることになります。
例では9時の数量を、説明を始めるための仮定としてA棚10個、B棚5個と置きます。これは実際の帳簿から取得した理論在庫ではありません。9時5分にA棚を数えた結果や、9時15分にB棚を数えた結果、そこから計算で導いた値とも分けて扱います。
実務で理論在庫と呼ぶ数量は、通常、管理している期首の数量や、その後に記録された入荷・販売・移動などから分かる値です。ただし、どの取引を何時の時点で処理済みとするかはシステムや事業の運用によって異なります。表示されている数字を見たら、対象の品番・場所・単位とともに、何時時点の表示なのかを確認します。
同じ画面で同じ商品を見ていても、A棚だけの表示と、A棚・B棚を合わせた表示では範囲が違います。二つの棚の合計を計算した後、片方の棚だけの理論値と比べれば、同じ時点でも一致しない可能性があります。比較表の最初に「場所ごと」「二棚の合計」のどちらかを書き、その行に含まれる範囲を固定しましょう。
表は横にスクロールできます。数量や時刻は説明用の架空例です。
| 項目 | この例での扱い | 確認すること |
|---|---|---|
| 比較する範囲 | A棚とB棚の同じ商品 | ほかの場所や別状態の商品を含めるか |
| 9時の数量 | A10個、B5個と仮定 | 実際には何を根拠とした数字か |
| A棚の実地計数 | 9時5分に10個 | 数えた人、時刻、単位 |
| B棚の実地計数 | 9時15分に数える | その間の移動・販売の有無 |
| 管理表の数量 | この例では具体値を設定しない | 表示時刻と記録済みの動き |
数えた値を消し、あとから計算した値だけに書き換えると、どこで差が生じたか追いにくくなります。観測値、動きの記録、計算結果を別欄にし、再計数した場合もその時刻と結果を新しい欄に残します。
商品が動く時間帯かを確認する
棚卸中は入荷や販売、棚の移動を止められる場合もあります。一方、営業時間中の店などでは、作業を完全に止められない場合もあるでしょう。止められないなら、少なくともいつ、どの商品を、何個、どこからどこへ動かしたかを確認できるようにします。
スマレジの棚卸設定に関する公式案内でも、棚卸中の販売や入出荷、移動の扱いが設定によって異なることを確認できます。これはスマレジの機能についての案内です。他社の在庫管理システムでも同じ操作や自動反映になるとは限らないため、使用している製品と店舗の運用を確かめてください。
A棚を数えた後に、同じ3個をB棚へ移した例

まずは、棚の間の移動だけを考える
ケース1では、9時の仮定上の数量がA棚10個、B棚5個です。9時5分にA棚を数え、10個と記録しました。その後、9時10分に同じ商品3個をA棚からB棚へ移動します。9時15分にB棚を数えると8個でした。
ここでは9時から9時15分まで、外部への販売や入荷、返品、廃棄はなかったと仮定します。9時10分の移動は、A棚とB棚の両方を含む管理範囲の中で場所が変わっただけです。全体の商品が3個増えたわけではありません。
表は横にスクロールできます。数量や時刻は説明用の架空例です。
| 時刻 | 出来事 | A棚 | B棚 | 何が分かっているか |
|---|---|---|---|---|
| 9:00 | 例の開始時点 | 10個 | 5個 | 説明用の仮定値 |
| 9:05 | A棚を数える | 10個 | ― | A棚の実地計数 |
| 9:10 | A棚からB棚へ3個を移す | ― | ― | 同じ3個が移動したと仮定 |
| 9:15 | B棚を数える | ― | 8個 | B棚の実地計数 |
表の「―」は、その時刻にその棚を数えた値を置いていないという意味です。0個だったという意味ではありません。後で計算した数量を使う場合は、観測値とは別に書きます。
10個と8個をそのまま足すと18個になる
A棚で記録した10個と、B棚で記録した8個を単純に足すと18個です。しかし、A棚にあった3個は、Aを数えた後、Bを数える前に移っています。そのため、この3個はAの10個にもBの8個にも含まれます。
「18個数えた」という作業の記録と、「同じ時刻に全体で18個あった」という結論は違います。二つの棚の計数時刻が異なり、間に移動があったという条件が、足し算の意味を変えています。
例えば、A棚で数えた10個のうち3個が、同じ人の作業でB棚へ運ばれたとします。B棚を数えるとき、その3個はB棚のほかの5個と一緒に見えます。数える人が違っても、同じ人が続けて数えても、移動の前後で対象を区別しなければ、同じ三個が二つの記録に入ることになります。これは架空の移動の説明であり、実際の担当者が誤った行動をしたと推測するものではありません。
反対に、B棚を先に数えてからBにあった商品をAへ移し、その後Aを数えると、数えた順序によっては別の重複や見落としが生じます。どの順番でどこへ動いたかを図にし、実際に数えた棚と時刻を対応させることが先です。単に「棚間移動があった」という一行だけでは、どちらの計数の前後だったのか分からない場合があります。
ただし現実の差が3個だったからといって、いつでも同じ理由とは限りません。移動の有無、品番、数量、時刻、行先を確認できない場合は、別の入出庫や数え違いも含めて調べます。差額をそのまま「移動した3個」と決めないことが大切です。
どちらの棚がいつ数えられたかを図にする
棚卸表を見直すときは、A棚とB棚を別の行にし、数えた時刻と、その間の移動を一つの時間軸へ並べます。Aを数えた前に移動したのか、後に移動したのか、Bを数える前に到着したのかで、重複するかどうかが変わるためです。
ケース1では「Aを数えた→3個移した→Bを数えた」という順番です。移動の前後で商品自体を識別でき、同じ単位で数えているという仮定も必要です。異なる商品や販売対象外のものが混じる場合は、そのまま三個を調整に使えません。
園芸店で鉢ごとの表示や販売可能・取り置きを分けて考える例は、公開中の園芸店の開業と現品在庫の記事でも紹介しています。数を合わせるだけでなく、数える対象の商品と状態をそろえることが出発点です。
9時の数量にそろえると、B棚の動きを戻す

ケース1ではB棚の8個から、後で入った3個を引く
9時の時点にA棚とB棚の数量をそろえたいとします。A棚の実地計数は9時5分ですが、この例では9時からAを数えるまで動きがなかったと仮定するので、Aは10個です。実際の作業でも、その間の入出庫がなかったかを確認しなければなりません。
B棚は9時15分に8個と数えました。その中には、9時10分にA棚から移った3個が含まれています。9時のB棚にはまだ移動前の3個が入っていないため、8−3=5個と計算できます。
9時にそろえたA棚10個とB棚5個の合計は15個です。B棚の5個は9時15分に実際に数えた値ではなく、その後に入った移動を戻して導いた9時の数量です。資料には「B棚9時15分の観測8個」と「B棚9時への調整後5個」を別々に残します。
表は横にスクロールできます。数量や時刻は説明用の架空例です。
| 棚 | 実地で数えた値 | 基準時点まで戻す動き | 9時の計算値 |
|---|---|---|---|
| A | 9:05に10個 | この例では9:00〜9:05の動きなし | 10個 |
| B | 9:15に8個 | 基準後にAから入った3個を引く | 5個 |
| 合計 | 異なる時刻の生合計18個 | 同じ時刻にそろえる | 15個 |
生合計の18個と、9時の計算値15個の差は3個です。この架空例では、確認済みと仮定した棚間移動3個が二度数えられたことを示します。計算の前提にある時刻や数量を、実例でも確認できているかが重要です。
ケース2では、移動後にB棚から2個を販売する
次に、同じ初期条件と3個の棚間移動に加え、9時12分にB棚から2個を外部へ販売したケースを考えます。ほかの入荷、返品、廃棄はなく、販売した2個は対象としている同じ品番・単位の商品です。二個が移動した三個の中に含まれるかどうかは、この例の同一品番の総数量を計算するうえでは区別しません。
9時のB棚は5個、そこへA棚から3個が入り、外部へ2個が出るので、9時15分のB棚は5+3−2=6個です。A棚を数えた9時5分の10個と、B棚を数えた9時15分の6個をそのまま足すと16個になります。
この16個は9時の全体数量でも、9時15分の全体数量でもありません。AとBを別の時刻に数えた値を足した数字です。移動による二重計数に加え、B棚を数える前に販売が起きているため、ケース1の生合計18個とも違います。
販売があったかどうかは、外部へ商品を引き渡した記録と、管理表に販売が反映された記録を分けて確認します。実際に商品は引き渡されたが入力が後になった場合、現物の動きとシステムの表示の時刻にずれが生じます。この架空例では9時12分に二個が範囲外へ出たと設定していますが、入力の遅れや別取引の有無までは設定していません。
また、販売の2個と棚間移動の3個は、どちらも同じ「減る・増える」の計算に見えても、二棚を合わせた範囲への影響が違います。AからBへ移った3個は二棚の合計では増減0です。Bから対象範囲の外へ出た2個は、二棚の合計を2個減らします。どの範囲を合計しているかを書いたうえで、一つずつ動きを整理します。
B棚の観測6個から、移動と販売を逆向きにたどる
ケース2のB棚を9時へ戻すには、9時15分の観測6個から始めます。9時以降にA棚から入った3個を引き、9時以降に外部へ販売した2個を戻します。式は6−3+2=5個です。
9時のA棚は、この例ではAを数えた9時5分まで動きがなかったので10個。A10+B5=15個となります。B棚へ入った動きは戻すときに引き、B棚から外へ出た動きは戻すときに足す、という向きです。
表は横にスクロールできます。数量や時刻は説明用の架空例です。
| 確認項目 | B棚の数量 | 理由 |
|---|---|---|
| 9:15の実地計数 | 6個 | その時刻に数えた観測値 |
| Aからの移動を戻す | −3個 | 基準時点より後に入った分を除く |
| 販売を戻す | +2個 | 基準時点より後に外へ出た分を戻す |
| 9:00の計算値 | 5個 | 6−3+2 |
販売二個が実際にB棚から出たか、時刻と品番が合っているかは、仮例では確認済みとしています。実際には販売記録があるだけで、どの棚からいつ出たかまで分かるとは限りません。資料で確認できなければ、そのまま未確定として扱います。
9時15分の数量にそろえると、A棚を進める

ケース1ではA棚の10個から、後で出た3個を引く
今度は二つの棚を9時15分の状態にそろえます。ケース1のA棚は9時5分に10個と数えた後、9時10分にB棚へ3個を移しました。この例ではほかにA棚の動きがないため、9時15分のA棚は10−3=7個と計算できます。
B棚は9時15分に8個と実際に数えています。A棚の計算値7個とB棚の観測値8個を足すと15個です。A棚の7個は9時15分に実地で数えた値ではなく、9時5分の観測値から後の移動を反映して導いた値です。
ケース1の全体は、9時も9時15分も15個でした。それはAからBへの移動だけがあり、二つの棚を合わせた範囲から商品が出入りしていないという仮定によります。棚別にはA10・B5からA7・B8へ変わっています。全体が変わらないことと、各棚の数が変わらないことは別です。
ケース2では、販売後のB棚6個と合わせて13個
ケース2でも、9時5分に数えたA棚10個から、9時10分にB棚へ移った3個を引くと、9時15分のA棚は7個です。B棚は移動と販売の後、9時15分に6個と数えました。したがって、A7+B6=13個です。
同じ結果を全体の動きからも確認できます。9時の仮定上の合計は15個、棚間移動は管理範囲の中での場所の変更なので全体に対する増減は0、9時12分の外部販売で2個が範囲外へ出ました。15−2=13個です。
9時へ戻したときの15個と、9時15分へ進めたときの13個は、違う時刻の数量です。二つの計算が一致しないから間違いなのではなく、その間に外部への販売2個があったという設定を反映しています。管理表と比較するときも、9時の表には9時の数量、9時15分の表には9時15分の数量を対応させます。
表は横にスクロールできます。数量や時刻は説明用の架空例です。
| ケース | 異なる時刻の生合計 | 9時にそろえた合計 | 9時15分にそろえた合計 |
|---|---|---|---|
| 1:棚間移動だけ | 10+8=18個 | 15個 | 15個 |
| 2:移動後に外部販売2個 | 10+6=16個 | 15個 | 13個 |
この二つの例には、入荷、返品、廃棄、品番変更はありません。実際にそれらの動きがある場合、何をどの時刻に対象範囲へ入れ、または対象範囲から出したのかを確認します。表にない動きを無視したまま、例の式だけを使うことはできません。
もし実際には対象範囲の外から入荷があったなら、その入荷がいつ、何個、どの棚に置かれたのかを別途確認します。返品があっても、返品された現品が販売可能な同じ在庫の範囲に入るかは、その事業での区分を見ます。資料の内容や管理方法が分からないのに、架空例の販売二個へ別の入荷や返品を勝手に足し引きしません。
計算表に記すときは、観測した数量、確認済みの動き、基準時点へ合わせた計算値を三種類の欄に分けます。ケース2でいえば、A棚10個とB棚6個はそれぞれ別時刻の観測、内部移動3個と外部販売2個は確認済みと仮定した動きです。A7個や9時のB5個は、その動きを用いて導いた数量です。数字が同じであっても出所が違うことを残します。
管理表の反映状況を確認してから比較する
計算で9時15分の13個を得ても、在庫管理システムに販売2個がいつ反映されたかは別の確認です。表示された数量が9時時点なのか、販売後なのか、棚間移動が記録されているのかを確認します。システムごとに、棚卸入力中の動きを自動で追従するかどうかも違います。
例えば販売後の13個と、販売前の記録上の15個を比べれば、二個の差が見えます。しかし、比べた時刻と反映範囲が違うなら、それだけで棚卸差異を確定できません。どの取引をどこまで反映した表示なのかを先に確かめます。
使用しているソフトの処理手順と、責任者の承認方法を調べ、計数値を入力するときに移動や販売が二重に反映されないようにします。本文の架空例の13個を、そのまま別のシステムへ入力すれば正しくなると保証するものではありません。
例えば、あるソフトが棚卸を開始した後の販売を別の処理として反映する設計なら、利用者が同じ販売分を計数値へ再度反映すると、意図しない結果になる可能性があります。逆に、棚卸中の変動が自動では反映されない設計なら、そのまま確定するだけでは必要な動きを見落とす可能性があります。実際にどちらの仕様かは製品の公式案内と設定を確認してください。
記録を更新する前には、誰が数え、誰が差を確認し、誰が変更を承認するかも決めておきます。一人で作業する小さな店でも、元の数量、実地計数、調整を考えた理由、実際に行った更新を日付とともに残せば、後から確認できます。確認できていない理由がある場合は、無理に一つの原因として記録しません。
移動や販売の証拠が足りないときは、差を未確定にする

差額から、動いた数量を作り出さない
ケース1と2では、3個の棚間移動と、ケース2の外部販売2個が記録で確認できたと仮定しました。現実には、移動したことは聞いていても数量が分からない、販売時刻は分かってもどの棚から出したか不明、といったことがあります。
その場合、観測値に差が3個あるからといって「3個を移したはず」と逆算し、その数字を事実として記入しないでください。棚札、移動伝票、販売記録、担当者の確認など、実際に利用できる資料を探します。見つからないものは未確認のまま残します。
表は横にスクロールできます。数量や時刻は説明用の架空例です。
| 確認したい情報 | 分かる場合に残す内容 | 分からない場合 |
|---|---|---|
| 移動した品目 | 品番、色、状態、単位 | 同一品かを確認中とする |
| 移動の数量 | 出庫側と入庫側で確認できた個数 | 差額から作らず未確定とする |
| 移動の時刻 | 両棚の計数時刻との前後関係 | 担当者と記録を確認する |
| 外部への販売 | 対象品、数量、引渡しと記録時刻 | どの範囲から出たか確認する |
| 管理表の反映 | どの時点までの動きを含むか | 表示時刻や処理履歴を調べる |
移動の記録がA棚からの出庫だけにある場合、B棚へ到着したか、別の場所へ置かれたかまで自動的に分かるとは限りません。移動先と数量を確認できる資料がそろっているかを別に見ます。片側の記録だけから、もう片側の現品を推測して埋めないようにします。
再計数するときも、時刻とその間の動きを残す
現品を再確認でき、作業の流れや安全上の条件が許すなら、担当者と範囲を決めて数え直します。A棚だけ先に数え、後でB棚を数える場合は、その間に移動や販売がないか、または記録できるかを確認します。再計数にも時刻があるため、最初の計数値と新しい値を区別します。
例えば、最初にA棚を9時5分、B棚を9時15分に数えた後、10時に改めて両棚を確認する場合を考えます。10時の再計数は、10時時点の新たな観測です。9時から10時までに販売や移動があれば、その動きを確認しないまま、10時の数字を9時の数字として扱えません。再計数を行った時刻、対象、実際に数えた数量と、その前後に動いた記録を一緒に残します。
初回の数量を消して新しい数字だけを残すのではなく、どの棚を、いつ、何個と数えたか、差が出たため何を確認したかを記録します。可能であれば別の担当者が数え直すなど、現場の手順に合わせた確認も考えられます。
棚卸差異には、数え漏れ、単位の誤り、別の場所の見落とし、未処理の入出庫など、複数の可能性があります。すべてを一つの原因に決めず、確認できたことと、まだ説明できないことを分けます。盗難や紛失といった結論も、差があるだけで断定しません。
数量の修正は、確認と承認の後に扱う
在庫表の数字を見かけ上合わせれば、差異は画面から消えるかもしれません。しかし、いつ何が起きたかが分からないまま上書きすると、次の棚卸でも同じ問題が起きる可能性があります。修正が必要かどうか、誰が承認し、どの記録を残すかを、実際の事業のルールで確認しましょう。
会計上の扱いや棚卸資産の評価は、数量の時点合わせだけで決まるものではありません。事業の記録方法や税務上の扱いが関係する場合は、関係する資料を持って税理士などへ相談してください。この記事の架空計算は、帳簿修正や税務処理の結論を示すものではありません。
棚卸を終えた後も、移動と数えた時刻を引き継ぐ

棚・時刻・単位を、次回も使える形で残す
差の原因が判明した場合は、その結果だけでなく、どの資料を照合したかも残します。棚番号、品番、計数時刻、数えた単位、計数後の移動、確認した担当者などを並べると、次回同じ条件を確かめやすくなります。
棚卸前に、棚ごとの担当範囲と数える順番を決めておくことも役立ちます。商品が別の棚へ移る可能性があるなら、移動を一時的に止められるか、止められないときに誰がどこへ記録するかを先に決めます。現場の規模や販売状況に合わせ、実行できる方法を選びましょう。
帽子の型・色・サイズごとに在庫と現物を対応させる考え方は、公開中の帽子屋の在庫管理の記事でも扱っています。対象の区別が曖昧なまま数量だけを合わせても、顧客が選んだ商品を用意できるとは限りません。
記録が不明な行は、担当と次の確認日を付ける
差がすべて解明できないときは、原因不明をそのまま残し、何を確認済みで、何が未確認かを書きます。「A棚の計数は9時5分に10個」「B棚への移動数量を照会中」「9時12分の販売がどの棚から出たか未確認」といった具合です。
確認先が複数ある場合は、棚の担当者、販売の記録を持つ人、システムの処理を確認できる人を分けて書きます。誰か一人に「原因を調べる」とだけ依頼するより、どの情報が必要かを明確にできるためです。回答をもらったら、その日付と内容を記録し、未回答の項目と混ぜないようにします。
移動伝票と現物の数が異なる場合も、一方を直ちに正しいと決めず、伝票がいつ作成されたか、実際の移動が完了したかを確認します。事前に予定として作った伝票と、実際に移動した結果が同じとは限らないからです。個別の書類名や状態は事業によって違うため、実際の資料を見て判断してください。
次回の棚卸では、前回未確定だった棚や品目を作業前に確認対象へ加えます。すでに改善した手順があれば、担当者がその内容を知っているかも確認します。ただし、前回と同じ差が出たから今回も同じ原因だとは決めず、今回の時刻と動きを改めて調べます。記録は原因を推測するためだけでなく、確認の手順を共有するためにも役立ちます。
表は横にスクロールできます。数量や時刻は説明用の架空例です。
| 引き継ぐ欄 | 書く内容 |
|---|---|
| 対象 | 品番、単位、状態、数えた棚 |
| 観測 | 計数時刻、数量、担当者 |
| 動き | 確認できた移動・販売とその根拠 |
| 調整 | 比較時点、計算式、導出した数量 |
| 未確認 | 数量や時刻など、資料で確認できないこと |
| 次の作業 | 誰が何をいつ確認するか、承認の要否 |
ソフトへの反映方法も、計数中の入出庫をシステムがどう扱うかによります。管理表に計算結果を入力する前に、自動反映や調整の設定、担当者の権限を確認します。画面に表示された数量と、実地で数えた数量が何を表しているかを理解してから作業しましょう。
二つのケースを振り返る
ケース1は、9時のA10個・B5個から、Aを数えた後に3個がBへ移った例です。異なる時刻の計数を足すと18個ですが、9時へそろえても9時15分へそろえても全体は15個です。内部の移動だけでは、二棚を合わせた数量が増えないためです。
ケース2は、その移動の後にB棚から外部へ2個を販売しました。異なる時刻の生合計は16個。9時へ戻すと15個、販売後の9時15分へ進めると13個になります。二つの時点の違いを作ったのは、管理範囲の外へ出た販売2個です。
実際の棚卸では、まず品目、範囲、時刻、観測値をそろえ、移動や販売の事実を資料で確認します。確認できない数量を差額から作らず、未確定の行として引き継ぎましょう。数えた値と計算した値を分けておくことが、差の理由を確かめる第一歩になります。