かぎ針編みの始め方|鎖編み・細編みから四角い練習片を仕上げるまで
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こんにちは。『脱会社員』脱サラを応援し続けるブログ、運営者の『なかびー』です。
かぎ針編みを始めたいけれど、糸と針の選び方も、編み目の数え方も分からない。そんなときは、いきなり販売する作品を決めるより、小さな練習片を一枚仕上げるところから始めてみましょう。自分で作った目を数え、間違いを戻し、糸端を始末する。その一巡ができると、次のレシピで何を確かめればよいかが見えてきます。
この記事の題材は、細編みを横に10目、縦に8段編む四角い練習片です。数字は説明用に設計した教材で、実際に制作・寸法測定した作品の報告ではありません。10目と8段は異なる単位なので、完成形が正方形になるとは限りません。材料によって大きさも厚みも変わります。道具、鎖編み、平編み、修正、仕上げの順に、何を見て判断するかを整理します。
かぎ針編みで最初に作るものを決める

小さな一枚を練習目標に。写真調の小片は厳密な目数の実例ではありません。
最初の目標は「売れる作品」ではなく一枚を終えること
手芸を副業につなげたい場合も、最初の小片をそのまま商品にする必要はありません。まず必要なのは、手順を再現できることと、できたものの状態を自分で説明できることです。たとえば「横の目数を保てた」「最後の糸端が表に飛び出していない」といった確認は、見栄えの印象よりも具体的な学習の目安になります。
今回の完成条件は、細編みの段が8段あり、各段の頭を数えると10目あること、編み始めと編み終わりの糸端が不用意に抜けないよう始末されていることです。端に多少の傾きが残っていても、なぜそうなったかを記録できれば練習として意味があります。完成のために欠点を隠したり、編めなかった段を編んだことにしたりせず、途中で止めた場合もその位置を残してください。
「今日は鎖を作って表と裏を見分けるところまで」と区切っても構いません。短い時間で全部を終えることより、再開するときに同じ状態へ戻れることが大切です。途中の編み地、針の号数、使った糸のラベルを一緒に保管すると、別の糸や針へ取り違えるのを防げます。仕上がりの早さを他人と比べる必要はありません。
棒針編みとは道具も目の扱い方も異なる
かぎ針編みは、先端にかぎのある針で糸を引き出して編み目を作る方法です。棒針編みの図を、そのままかぎ針の動かし方として読むことはできません。検索するときも「編み物」だけでなく、「かぎ針」「細編み」「平編み」まで条件をそろえると、自分の練習と違う技法が混ざりにくくなります。
同じかぎ針編みでも、円形に編むもの、模様を組み合わせるもの、編み進める向きや立ち上がりの扱いが異なるものがあります。この記事は、同じ幅を保って往復する細編みの平編みに範囲を絞っています。円の増し目、長編みの立ち上がり、輪の閉じ方へ、そのまま数字を当てはめないでください。作品のレシピへ進んだら、そのレシピの編み方と注記を優先して読みます。
小片を選ぶと失敗の原因を分けやすい
最初からバッグや衣服に挑戦すると、大きさ、形、持ち手、接続部分など、同時に確かめる項目が増えます。今回の小片は、横の目数が増えたり減ったりしないことに集中するための教材です。目数の変化を確認する段階で、色替えや飾りを加えない方が、どの操作で形が変わったのかを追いやすくなります。
できた小片は、編み目の見本として残せます。表裏の様子、糸の太さ、針の号数、数えた目数を書き添えると、後で別の材料を使ったときの比較にも使えます。ただし、用途を決めていない練習片を「鍋つかみ」「子ども用のおもちゃ」などに転用するのは避けてください。熱への強さや抜けやすい糸端など、用途ごとの確認を済ませたものではありません。
右利きの説明を使うときと左利きで進めるとき
以下の操作説明は、かぎ針を右手に持つ一般的な方法を基準にしています。ただし、完成した編み地を見て「右端だから必ず段の最初」と決める説明にはしません。平編みでは段ごとに返すため、「今編んでいる段の最初」「最後」と、進行方向に沿って位置を区別します。
左手に針を持つ場合は、左利き向けの基礎図や指導で、糸を掛ける向きと編み進む方向を確認してください。右利き用の画像を単純に反転しただけでは、文章、記号、手の配置がすべて適切になるとは限りません。一方、今回の「細編みを10目数える」「立ち上がりをその10目へ足さない」という確認項目は、利き手にかかわらず使えます。
毛糸とかぎ針を合わせて準備する

糸の表示を確かめ、適した道具をそろえましょう。
糸のラベルを先に読み、針を後から合わせる
糸とかぎ針を別々に見た目だけで選ぶと、針を入れにくかったり、編み目が大きく開いたりしても、手の動かし方が原因なのか道具の組合せが原因なのか判断しにくくなります。練習では、購入する糸のラベルにある適したかぎ針の号数を確認し、その範囲の針を用意するところから始めましょう。号数を一つ決め打ちせず、実際の材料表示を見て選びます。
素材名、糸の太さ、長さ、色番号などもラベルに記録されています。同じような色でも別製品の糸では、編み地の大きさが変わることがあります。途中で糸を替えると練習条件が増えるため、小片一枚は同じ糸で編む方が観察しやすくなります。余り糸を使う場合も、できる限り元のラベルを確認してください。
ラベルに書かれた目数・段数の目安は、今回の10目8段を特定の寸法に保証するものではありません。編み方、針、手加減が違えば寸法も変わります。最初から「必ず何センチになる」と考えるのではなく、終わってから実測し、自分の練習条件と一緒に残す使い方が適しています。
目を見分けやすい糸を練習用にする
初めは、表面が比較的滑らかで、編み目が見える色の糸を選ぶと、鎖の形や細編みの頭を探しやすくなります。濃い色、長い毛足、強い凹凸のある糸が悪いわけではありませんが、目を探す練習と素材の扱いを同時に行うことになります。見えにくさで困ったら、自分の不器用さと決めつける前に材料と照明を見直しましょう。
糸が何本かに分かれて針に掛かる場合は、糸全体を引き出せているかも見ます。よりの一部だけを引っ掛けると、隣の目とは異なる細い線が残りやすくなります。後から数段まとめて直すより、目の形が違うと気づいた時点で一つ戻して確認する方が、戻す範囲を限定できます。
必要な道具と置き場所をそろえる
用意するものは、糸、対応するかぎ針、糸を切るはさみ、糸端を始末するとじ針、目の位置を示す開閉式マーカーです。寸法を残すなら定規も用意します。マーカーは編み地から外せるものを使い、針や糸の通り道をふさがない位置に取り付けます。小さな道具は転がりやすいため、使わないものを置くトレーがあると見失いにくくなります。
はさみや針を編み地の下へ隠すように置かないでください。休む前に道具の数と置き場所を確認し、小さな子どもやペットが触れない場所へ片付けます。糸玉を引き出すときも、床を転がして汚したり、足元へ糸を張ったりしないように置きます。編むための準備と片付けを一組にすると、次回も同じ条件で始められます。
糸玉側と糸端を区別し、無理のない姿勢で持つ
最初に、糸玉へ続く側と短く残る糸端を区別してください。編み進めるために使うのは糸玉側です。短い糸端を繰り返し引いていると、必要な糸が供給されず、作り始めの形が変わってしまうことがあります。手順の途中で分からなくなったら、いったん糸を机に置き、どちらが糸玉へ続いているか目で追い直しましょう。
持ち方は、針と糸を制御でき、過度に力を入れずに動かせることを目安にします。指を強く締め付けて糸を止めたり、針を握りつぶすように持ったりする必要はありません。小さな目を見ようとして顔を近づけ続けるより、手元の明るさや位置を調整します。痛みやしびれがあるときは作業を止め、無理をして練習を続けないでください。
鎖編みを作り目と数え方から練習する

基礎の鎖10目と立ち上がりの1目を分けて数えます。
作り始めの輪と鎖の数を分ける
まず、糸端を残して糸を針へ一周巻き、交差した部分を左手の親指と中指で押さえます。針先に糸玉側の糸を掛け、巻いた輪の中から引き出し、糸端を引いて根元を整えます。これで作り始めの輪が針に残ります。続いて糸玉側の糸を針に掛け、いま針にある輪の中から引き抜きます。新しい輪が針上に残り、その下に鎖が一つできます。この「糸を掛け、針上の輪から引き抜く」を繰り返すと、鎖が一つずつ増えます。ここで混同しやすいのが、針に掛かっている輪と、すでにできた鎖です。針の上にある輪を、そのまま鎖一目として足さないでください。この記事では、形としてできた鎖だけを数え、作り始めの輪も目数へ含めません。
最初から11目を急いで作るより、数目作ったところで置いて観察してみます。針に残る輪、連なった鎖、短い糸端がそれぞれどこにあるかを指差しで確認してください。「針の輪が一つだから一目目」と数え始めると、その後の細編みの幅も一目ずれるため、この区別は完成後ではなく作り目の段階で済ませます。
手の動きを詳しく確かめるときは、クロバーのかぎ針編み基礎で、持ち方、鎖編み、細編みの説明を見比べられます。この記事の小片は独自の練習設定で、同ページの完成作品を再現するレシピではありません。公式の図と異なるように感じたときは、推測で針を進めず、基本動作を確認し直してください。
鎖の表と裏を見て、数える場所を固定する
鎖を表側から見ると、連なった形をたどれます。ひっくり返すと、裏側に糸が盛り上がった部分があり、これを裏山と呼びます。今回の一段目の細編みでは、この裏山を拾います。鎖の表を見て数えていたのに、途中から別の線を一目として加えると、同じ鎖を二度数えてしまうことがあります。
数えるときは、編み地を引き伸ばして線をばらばらにするのではなく、鎖の形が見える程度にそっと整えます。端から順に一つずつ指や外したマーカーで示していくと、飛ばした位置を見つけやすくなります。針を抜く必要がある場合は、先に編みかけの輪を保護して、数える作業中にほどけないようにしてください。
裏山を見分ける練習と、細編みをする練習は分けても構いません。まず数個の鎖を作り、「この鎖の裏山はここ」と確かめてから次へ進みます。裏山が見つからないまま、刺せそうな場所へ針を入れてしまうと、一段目の途中で拾う位置が変わり、端の見え方もそろわなくなります。
今回は基礎の鎖10目に立ち上がり1目を加える
横に細編み10目を作るため、今回の作り目は基礎になる鎖10目と、立ち上がりの鎖1目です。できた鎖は合計11目ですが、針に掛かる輪はこの11目とは別です。一段目の細編みを入れる場所は、針から数えて2個目の鎖の裏山から始めます。針に一番近い鎖は立ち上がりなので、そこへ一目目の細編みを入れません。
確認用に、基礎の鎖を糸端側から1〜10、最後に追加した立ち上がりを別枠と考えてみましょう。細編みを始めるときは、基礎の鎖10の位置から糸端側へ進みます。この番号は教材の理解のための呼び方で、編み図の正式な記号ではありません。数える向きと編む向きが逆になることを、紙に線を引いて整理してもよいでしょう。
この段階で鎖が10個しかなければ、基礎の鎖10目を用意したつもりでも、立ち上がりを含めた合計を取り違えている可能性があります。細編みへ進む前に、11個の鎖と針上の輪を別々に確かめます。途中で違いに気づいたら、この小さな範囲で戻しましょう。後の段で目を足して帳尻を合わせる方法は、今回の練習では使いません。
きつさを「針が通るか」と「目の差」で見る
鎖を強く締めると、次の段で針を入れにくくなります。逆に、一部だけ極端に大きな輪があると、その場所だけ間が開くことがあります。初めは全てを同じ大きさにしようと力むのではなく、針を無理に押し込まなくても通せるか、隣り合う鎖が極端に違わないかを見てください。
一つの鎖が小さいとき、針先でこじ開けるように進めると、糸を割ったり手に負担を掛けたりします。いったん止めて、糸を送る手が締まり過ぎていないか、鎖を引くたびに短い糸端を引いていないかを確認します。修正するときは一度に針の号数、材料、持ち方を全部変えず、変えた条件を一つ記録すると比較しやすくなります。
細編みの平編みで四角い小片を作る

各段で目数を確認し、記録を残しましょう。小片は制作イメージです。
一段目は鎖の裏山を一つずつ拾う
作り目を確認したら、針から2個目の鎖の裏山へ針を入れます。糸玉側の糸を掛けて引き出すと、針上には輪が二つできます。もう一度糸を掛け、その二つを一度に引き抜くと細編み一目になります。隣の鎖の裏山へ移り、同じ操作で基礎の鎖を一つずつ拾っていきます。
最初の細編みができたら、その頭にマーカーを付けると、後で一目目を探しやすくなります。マーカーは作り目の鎖ではなく、完成した細編みの頭を示すためのものです。続けて編むときに針へ引っ掛けないように置きます。最後の細編みができたところにも目印を付け、一段目の頭を端から端まで数えてください。
ここでの到達点は、細編みの頭が10個あることです。鎖11目を作ったから細編みも11目、と考えないようにしましょう。立ち上がりの鎖は幅を作る一目には数えていません。数えた結果が違うときは、この段が終わった時点で確認し、二段目へ持ち越さない方が原因を探す範囲を狭くできます。
折り返すときは段の最初と最後を入れ替えて考える
一段を終えたら、立ち上がりの鎖1目を作って編み地を返し、次の段を編みます。今回の教材では、立ち上がりの鎖は細編み一目として数えません。次の段の最初の細編みは、返した後の最初の細編みの頭、すなわち直前の段で最後に編んだ細編みの頭へ入れます。立ち上がりの鎖へ針を入れる操作ではありません。
返した後は、今まで向こう側に見えていた面が手前になります。机に置いたときの右端・左端だけに頼ると、目印の意味を取り違えます。マーカーが付いた前段の最後の目が、新しい段の最初の目に対応することを確かめましょう。編み地の側面の隙間が大きく見えても、それを別の一目として拾わないでください。
毎回どちらへ返すかも、練習中は同じやり方にそろえると観察しやすくなります。途中で手元が乱れたら、糸を引っ張って形を直すのではなく、針上の輪、立ち上がり、最初に拾う頭の三つを確認します。再開位置が分かるまで一目を増やさないことが、目数を保つ近道です。
二段目以降は前段の頭の二本を拾う
細編みの頭には、上から見たときに二本の糸でできた形があります。今回の通常の細編みでは、この頭の二本を拾います。手前側の一本だけ、または向こう側の一本だけを拾う編み方とは区別してください。一段目で鎖の裏山を拾ったことを、そのまま二段目以降へ当てはめるわけではありません。
最初の一目を編んだら、前段から外したマーカーを、新しくできた一目目の頭へ移します。前段の頭を一つずつ拾い、最後は前段の最初だった細編みの頭まで編みます。最後の目は端で小さく見えることがあるため、目印を外す前に入れる場所を確かめてください。最後まで進んでも、立ち上がりの鎖を追加の細編みとして拾いません。
マーカーを動かす目的は、今の段の両端を見えるようにすることです。前の段に付いたままなのか、今編んだ段へ移したのかが曖昧だと、目印がかえって混乱の原因になります。「一目目を編む、目印を移す、最後の目を編む、最後の目印を移す」と作業の区切りをそろえると、途中で止めても再開しやすくなります。
10目8段の記録は予定ではなく実測値を書く
以下は、今回の練習で目標にする記録表です。10という数字は予定値であり、実際に数えた結果ではありません。自分が編んだ際は、実測欄へその場で数えた数を書き、違っていたら戻した段も記録します。予定通りの数字を先に実測欄へ入れてしまうと、どこで間違いに気づいたのかを追えなくなります。
※表は横にスクロールして確認できます。
| 細編みの段 | 目標の目数 | 主な確認箇所 | 実測欄 |
|---|---|---|---|
| 1段目 | 10 | 鎖の裏山を10か所拾ったか | 自分で記入 |
| 2段目 | 10 | 返した直後の最初の頭 | 自分で記入 |
| 3段目 | 10 | 最後の頭を飛ばしていないか | 自分で記入 |
| 4段目 | 10 | 立ち上がりを数えていないか | 自分で記入 |
| 5段目 | 10 | 同じ頭へ二度編んでいないか | 自分で記入 |
| 6段目 | 10 | 今の段の目印に移せているか | 自分で記入 |
| 7段目 | 10 | 目数と幅を別々に確認したか | 自分で記入 |
| 8段目 | 10 | 全体を終える前の最終確認 | 自分で記入 |
表は段ごとに確認の重点を示していますが、たとえば三段目だけ最後の目を見ればよいという意味ではありません。毎段の目数確認は共通です。八段目を終えたら、作り目の鎖の列を細編みの一段として加算していないかも見ます。段数が不明なときは、自分の記録と実物を見比べ、確認できないまま完成にしないでください。
また、10目を8段編む設定では、細編みの操作は合計80目分になります。ただし、この80に作り目や立ち上がりの鎖は含まれません。80個の目を完成品の表面だけで一度に数えるための数字でもありません。横は10、縦は8という二つの確認を先に行い、合計値を形や寸法の保証へ読み替えないことが大切です。
目が増える・減る・端が曲がるときに直す

数の一致だけで全体の仕上がりが正しいとは限りません。
まず目数の変化と編み地の幅を切り分ける
端が広がって見えたら、すぐに「目を増やした」と決めつけず、今の段の頭を数えます。数が同じでも、糸を引く強さが変わると幅が変化することがあります。逆に、表面の見た目が似ていても、一目少ないまま進んでいることがあります。目数、段数、幅、穴の位置は別々に観察しましょう。
数える前に針上の輪を保護し、今数える段をはっきりさせます。前の段の頭と現在の段の頭を交互に数えると、正しい段でも不一致に見えます。マーカーで両端を確認し、同じ列を端から端へたどってください。二回数えて結果が違うなら、まだ原因を決めず、拾った位置を一つずつ確かめます。
9目だった場合は飛ばした場所を探す
架空の例として、一段目と二段目は10目、三段目で9目になったとします。この記録だけでは、最後の目を飛ばしたのか、途中を飛ばしたのかまでは断定できません。まず三段目の最初と最後が、前段の両端に対応しているかを見ます。両端が正しければ、途中で前段の頭を一つ飛ばしていないかを確認します。
最後の頭を拾っておらず、まだその段の終端にいると確認できれば、正しい最後の位置へ一目編むことでその段を終えられます。ただし、すでに次の段を編み始めた場合、上の段の端へ一目増やして幅だけを合わせるのではなく、間違いのある段まで戻してやり直します。どの頭が抜けたか分からないまま適当な隙間へ一目足さないでください。
このケースで戻すのは必ず最初の鎖まで、とは限りません。二段目まで正しいと確かめられ、三段目の誤りを特定できるなら、その手前まで戻す判断ができます。反対に、二段目の10という記録も未確認なら、記録だけを信用せず、正しいことが確認できる段から立て直します。
11目だった場合は重複と立ち上がりを疑う
別の架空例として、四段目までは10目、五段目で11目になったとします。原因の候補には、同じ前段の頭へ二回細編みを入れた、段の端の隙間を余分に拾った、立ち上がりの鎖を細編みとして数えた、などがあります。実物を見ずに一つへ決めつけず、まずは数え間違いなのか、実際に余分な細編みがあるのかを分けます。
立ち上がりを数えただけで、細編みの頭が10個なら、編み直す必要がない場合もあります。一方、余分な細編みが実際にできているなら、その位置より前へ戻して編み直します。次の段で二目を無理に一目にまとめると、目数の帳尻は合っても今回の「増減なしの平編み」とは別の操作になり、原因の理解も難しくなります。
修正前に、どの位置を余分だと判断したかを記録してください。「11だから一つ取る」ではなく、「この前段の頭から二つの細編みが出ている」と説明できると、やり直した後の確認が明確になります。原因が見えない場合は、目の形を近くで確認し、基礎図や教室などで現物を見てもらう方が確実です。
10目なのに曲がる場合は条件を一つずつ比べる
三つ目の架空例は、各段とも10目なのに、編み地の片側が詰まって見える場合です。目数だけは合っていても、端の一目を強く締めていたり、作り目だけがきつかったりする可能性があります。上下の幅を比べるときは、手で引き伸ばした状態と机へ自然に置いた状態を混ぜないようにします。
まず、強く引っ張らずに置いた小片の状態を観察します。端の目だけ極端に小さいのか、全体の大きさが段ごとに変わるのか、作り目の列だけ縮んで見えるのかを分けましょう。編み始めに緊張していた可能性があっても、実際の手の動きを見ていないなら断定しません。次の小片で糸の送り方を意識するなど、一つの条件を変えて比較します。
すべての曲がりを、最後の仕上げで引き伸ばせば解決できるとは考えないでください。目数の誤りや拾う位置の違いは、手入れで正しい構造へ置き換わるわけではありません。原因を残したまま強く引いて形を整えるより、練習片として保管し、どの条件を変えたら違いが出るかを次の一枚で確認する方法もあります。
ほどく前に戻り先を決め、再開点を見失わない
ほどくときは勢いよく糸玉側を引き続けず、戻したい位置を先に決めます。必要ならその手前に目印を付け、少しずつほどいて、再開に使う輪を針へ戻します。糸が引っ掛かった場合は無理に引かず、マーカーが残っていないか、糸が別の糸や道具へ絡んでいないかを確認してください。
やり直し後は、元の誤りが消えたかだけでなく、その段の最初と最後も確認します。間違った目を直すことに集中して、端を飛ばしてしまうこともあります。記録には「五段目11目、途中の重複を見つけて戻す、再確認10目」のように、観察、修正、再確認を分けて残します。やり直したことは失敗の数を増やすためでなく、次に迷ったときの手掛かりになります。
糸始末と仕上げをして次の作品へ進む

糸端の始末と記録まで進めましょう。写真調の制作イメージです。
編み終わりと糸端を隠す作業は別に行う
八段目の目数を確認したら、糸始末に使える長さを残して糸を切り、編み終わりの輪から糸端を引き抜いて終わりを留めます。糸をぎりぎりで切ってしまうと、その後にとじ針で編み地へ通す長さが不足します。必要な長さは材料や始末の方法で変わるため、作業前に基礎手順を確認し、短く切り過ぎないようにしてください。
続いて、とじ針で編み地の裏側へ糸端を通し、目立たないように収めます。編み終わりの糸だけでなく、作り始めに残した糸端も対象です。表側へ長く糸を渡したり、裏側に大きく浮いた輪を作ったりしていないかを見ます。強く引き過ぎて編み地が縮む場合は、その状態のまま糸端を切らず、通した部分を見直してください。
糸端を隠したことと、用途に十分な耐久性があることは同じではありません。今回は小片の基本練習なので、販売品としての引張りや洗濯に対する性能を検証したことにはなりません。表と裏の状態を確かめ、持ち上げたときに糸端がすぐ飛び出してこないかを丁寧に観察します。完成後の用途は、材料と仕上がりの確認に応じて判断してください。
寸法と手入れは実際の材料に合わせる
小片を平らな場所へ置き、無理に伸ばさずに横幅と縦の長さを測ると、今回の記録になります。横10目・縦8段という設定から、正方形や特定のセンチ数を逆算しないでください。別の糸で作った見本と大きさが違っても、それだけで失敗とは限りません。糸、針、編み方、手加減を含めた結果として比較します。
水に通す、洗う、アイロンを掛けるといった手入れは、糸の表示と作品の条件を確認してから行います。熱や水分への反応を確かめないまま、強いスチームや高温で形を直そうとしないでください。異なる素材を組み合わせた場合は、片方の表示だけを見て全体を同じ扱いにしないことも大切です。
写真と記録をそろえると次の練習へつながる
記録用の写真は、表だけでなく裏側、端、糸始末した部分も残すと、どこを修正したか確認しやすくなります。寸法を伝える写真なら定規を添えますが、定規の位置と編み地の端がずれていないかを見ます。明るさを変え過ぎたり、画像の形を変形させたりすると、比較用の記録として使いにくくなります。
完成片の様子を伝える撮影の考え方は、物撮りのコツ|小物の商品撮影を練習するでも整理しています。今回必要なのは、上手に見せるための写真より、目数や端の状態を読み取れる記録です。まだ販売しない段階でも、何を見せたい写真なのかを決めると、後から同じ条件で撮り直しやすくなります。
次の作品と販売準備を混同しない
今回の小片を仕上げたら、次は対象の材料と編み方が明記された、平編みの小さな作品へ進めます。糸の種類、完成寸法、必要な編み方、仕上げ方法を先に読み、分からない記号があるならその部分を練習してから始めましょう。一枚できたことで、円形や立体、複雑な模様まで同じ方法で作れるようになったとは考えません。
販売を目指す場合は、完成品の品質、材料表示、梱包、説明、受注後の対応などが別途必要です。具体的な準備は、ハンドメイド販売の始め方を参考に整理できます。他者のレシピや図案を使う場合も、その利用条件を確認してください。趣味として編むことと、作ったものを販売できることを一律に同じ扱いにはできません。
最初の一枚で大切なのは、きれいな写真を作ることでも、短時間で商品を増やすことでもありません。鎖10目と立ち上がり1目を分け、細編み10目を毎段確かめ、8段で終えて糸始末まで行うことです。途中で9目や11目になったら、原因を確認して戻します。その経験を記録に残し、次の一枚で確かめる点を一つ決めてみてください。