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こんにちは。「脱会社員」脱サラを応援し続けるブログ、運営者の「なかびー」です。

有給休暇は、法律の要件を満たせば発生する労働者の権利です。原則として本人が指定した日に取得でき、会社の承認そのものが成立要件になるわけではありません。ただし、会社が適法に時季変更権を行使できる場合はあります。

「忙しいから無理」「パートにはない」と言われたときは、申請が届いているか、利用できる残日数があるか、会社が何を理由に断っているかを順に確認しましょう。この記事では、在職中の取得を中心に、会社への伝え方、回答の残し方、拒否が続く場合の相談準備を整理します。

目次
  1. 有給が取れない原因を、申請・残日数・会社の回答に分ける
  2. 自分の付与日・残日数・取得単位を確認する
  3. 一律の拒否と時季変更を、会社の具体的な説明で見分ける
  4. 希望日と業務状況を伝え、回答を記録に残す
  5. 退職前・パート・年5日の取得義務で混同しやすい点を整理する
  6. 拒否が続くときは、資料と希望を整理して相談する

有給が取れない原因を、申請・残日数・会社の回答に分ける

申請未到達、残日数不明、変更の説明、取得の拒否を四つの状態に分けた図。

申請が届いていない場合と、取得を断られた場合を分ける

「有給を取れない」という言葉だけでは、何が止まっているのかを判断できません。入力したつもりで下書きになっていたのか、申出を受けた上司が返事をしていないのか、会社が別の日にしてほしいと述べているのかを分けます。最初の作業は、自分が指定した日と、それに対する会社の対応を確かめることです。

申請システムに「承認待ち」と表示されていても、その表示だけで法的に有給休暇の権利がないことにはなりません。社内の処理名と、年休の権利や時季変更の問題は別です。画面では受付先や入力内容を確認し、会社が実際にどのような返答をしているのかを言葉でも確かめましょう。

反対に、希望日をまだ誰にも伝えていない状態と、明確に日を指定した申出に会社が応じない状態も異なります。「来月どこかで休みたい」と雑談しただけなら、どの日の年休を申し出たのかが相手に伝わっていない可能性があります。取得したい日と日数を具体化して伝えることが、確認の出発点になります。

会社から「残りはない」と言われた場合には、拒否理由を議論する前に、どの時点の残日数を見ているのかを確認します。既に取得した日だけが差し引かれているのか、今後の申請分も引かれているのかによって、画面の数字の意味が違うことがあります。残数の表示と実際に取得した履歴を対応させてください。

※表は横スクロールできます。

現在の状態 先に確かめること 次の連絡の例
申出が届いたか不明 送信・提出日時、希望日、受付先 ○日分の年休の申出が届いているか
残日数が不明・会社と認識が違う 付与日、繰越、取得済み・申請中の内訳 どの記録で残日数を算定したか
日を変えてほしいと言われた 対象の日と、業務上の具体的事情 どの業務にどのような支障があるか
一律に取れないと言われた 発言内容、理由、対象範囲 今回の日程の話か、年休自体を認めない話か

希望日・申出日・返答を一緒に記録する

口頭で上司に伝えたケースでは、「誰に何と言ったか」が後から曖昧になりやすくなります。たとえば10月15日に、10月28日の一日休暇を申し出て、「その日は難しい」と言われたなら、三つの日付と発言をその日のうちに記録します。難しいという返答の理由をまだ聞いていなければ、理由は未確認と書きます。

システムを使ったケースでは、希望日、休暇の区分、日数、送信日時、宛先が分かる控えを確認します。エラーが出ていたのか、別の休暇を選択していたのかも見てください。画面の一部だけを切り取ると対象日が分からなくなることがあるため、自分の申請内容が読み取れる範囲を適切に残しましょう。

「担当者が戻ったら回答する」と言われたケースでは、拒否が確定したと記録せず、誰の何の確認を待っているのかを書きます。希望日が近いなら、担当者不在時の確認先も尋ねられます。受付の有無と、会社が日程について何を述べているかを別にすると、同じ質問を繰り返さずに状況を追えます。

過去にも取れなかったことがある人は、まず今回の申出を一件として整理します。その後、以前の申出と回答を別の行に加えると、毎回同じ理由だったのか、特定の日だけだったのかが見えます。昔の記憶を今回の返答に混ぜず、記録がない出来事は「記憶による」と分かるようにしておきましょう。

年休・会社独自の休暇・もともとの休日を混同しない

年次有給休暇は、本来働く義務がある日に、その義務を免除する制度です。もともと勤務予定がない所定休日を年休として申し出る話とは区別します。会社の休暇一覧に複数の制度がある場合は、自分が申請した区分が法定の年休なのか、会社独自の特別休暇なのかを確かめてください。

たとえば「私用では使えない」と言われても、会社独自の慶弔休暇の対象外という説明なのか、年休の利用目的を理由に断っているのかで確認内容が変わります。制度の名前を確かめずに話を進めると、お互いに違う休暇を想定したままになることがあります。申請した区分と希望した休み方を一緒に伝えましょう。

代休や振替休日と年休も、同じ残日数として扱わないようにします。会社から別の休み方を提案されたときは、何という制度を、どの日に使う提案なのかを聞きます。有給で休みたいと申し出たのに、説明なく欠勤や無給の休暇として処理されていないかは、取得後の勤怠記録でも確認する必要があります。

手元に就業規則や休暇制度の説明がない場合は、閲覧方法と担当部署を尋ねます。書類が見つかるまで何も伝えないより、希望日を明示したうえで制度の確認を並行して進める方が状況を整理しやすくなります。社内で確認できない点は、分からないままにせず後の相談事項として残してください。

ここまでで「申出の内容」「利用する制度」「会社からの回答」の三つがそろうと、次に調べる範囲を絞れます。残日数が争点なら付与と取得の記録へ、業務上の支障を理由にされているなら時季変更の説明へ進みます。すべての制度を一度に調べるより、自分が止まっている地点から確認しましょう。

出典:厚生労働省「年次有給休暇の条件・基本的な考え方」

自分の付与日・残日数・取得単位を確認する

今年の付与分、繰越分、取得単位を別々に確認する休暇台帳。

入社日、付与の基準日、出勤の扱いを見る

一般の労働者では、雇入れから6か月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤すると、10労働日の年休が付与されるのが法律上の基本です。その後の付与は継続勤務期間と出勤率によって変わります。会社が法律より有利に前倒しで付与する場合もあるため、自分の会社の基準日と付与履歴を確認してください。

入社日だけを見て「ちょうど半年だから今日から必ず画面に10日出るはず」と判断せず、前倒し分や全社統一の付与日の運用があるかを確認します。会社の記録と自分の理解に差があるなら、いつ何日付与した扱いなのかを聞くと比較できます。法律より少なくてよいという意味ではなく、記録の読み方の確認です。

出勤率についても、単純に暦の日数を分母にして計算するものではありません。所定休日や休業の扱い、出勤したものとみなす期間などを区別します。会社から出勤率を理由に付与されないと説明された場合は、対象期間、全労働日数、出勤日数、それぞれに含めた日の内訳を尋ねましょう。

年休を取得した日や、一定の産前産後休業、育児・介護休業などは、出勤率の計算で出勤したものとして扱われます。休んだ日があればすべて出勤不足になると決めないでください。該当する休業がある人は、休業の制度名と期間を会社に示し、計算上どう扱ったかを確かめることが大切です。

パートという呼び名より、所定時間と日数を確認する

パートやアルバイトでも、要件を満たせば年休の対象になります。「正社員ではないから付かない」という説明だけで諦める必要はありません。付与日数を調べるときは、雇用形態の名前よりも、週の所定労働時間と所定労働日数、または年間の所定労働日数を確認します。

週の所定労働時間が30時間以上の場合や、週の所定労働日数が5日以上、または年間217日以上の場合は、一般の労働者と同じ付与日数の扱いになります。週30時間未満で所定労働日数も少ない人は比例付与を確認します。パート全員が比例付与になるわけでも、短時間なら必ず年休がないわけでもありません。

※表は横スクロールできます。

確認する働き方 付与日数を調べる入口 会社へ確かめる資料
週30時間以上 一般の付与日数を確認 所定労働時間と勤続期間
週30時間未満でも週5日以上など 一般の付与日数を確認 週または年間の所定労働日数
週30時間未満で週4日以下など 比例付与の区分を確認 所定労働日数・継続勤務期間
契約や勤務日数が変わった 適用する条件と基準日を確認 変更前後の契約、付与履歴

最近勤務日数が変わった場合には、今のシフトだけで過去の付与日数を計算し直さないようにします。どの基準日の付与について、どの所定労働時間や日数を使ったのかを会社へ確認してください。契約上の日数が明確でない人は、契約書、勤務予定表、実際の勤務記録を分けて用意すると事情を伝えやすくなります。

出典:厚生労働省「一般の付与日数・パート労働者の比例付与」

繰越分・今年の付与分・使用した分を分けて残数を見る

残日数は、前年からの繰越、新たな付与、取得済みの日数を分けて確認します。年休の権利は原則として発生から2年で時効にかかるため、同じ「残り8日」でも、いつまで利用できる分なのかが重要です。年度が替わったという理由だけで、発生から1年の分まで当然に消えるわけではありません。

説明用の例として、繰越が4日、新しい付与が10日、その後の取得が6日なら、単純な合計差引きでは8日になります。ただし、その8日に期限を迎えた分が含まれないか、どちらの付与分から使用した扱いか、申請中の分が既に控除されているかを確認します。合計だけが合っていても、希望日に使える残数とは限りません。

問い合わせるときは、「今日の残日数」と「○月○日に取得できる残日数」を区別できます。希望日の前に古い分の期限が来る場合や、別の申請が入っている場合に役立ちます。自分で作った一覧と会社の記録が違っていたら、どちらが正しいかを先に決めず、差が生じる取得日や付与日を一つずつ探してください。

半日で使った履歴がある人は、0.5日として反映される記録と、時間単位の記録を混ぜないようにします。システムが「日+時間」で残数を示す場合、時間の分がどの日数から割り当てられたものかも確認します。表示の単位を取り違えると、残日数があるのに申請できない原因が分からなくなることがあります。

一日・半日・時間単位の条件は同じではない

年休は一日単位の取得が原則です。半日単位は労使の合意に基づく運用などを確認する必要があり、どの職場でも当然に半日で取れるとは限りません。「半日という取得単位には対応していない」という説明と、「一日の年休も認めない」という説明は分けて聞き取ってください。

時間単位の年休は、労使協定に基づいて年5日の範囲内で利用する仕組みです。制度がある職場でも、対象者や取得単位などの定めを確認します。時間単位の制度があるから会社が本人の一日年休の申出を自由に時間単位へ変えてよい、という話ではありません。本人がどの単位で取りたいのかを明確にしましょう。

会社へ残数を聞く際は、「付与日と日数」「繰越分と期限」「取得済みの日付」「未取得の申請分の扱い」「半日・時間単位の制度」を一組の質問にすると、数字の根拠まで確認できます。全項目を自分で計算できなくても、どこが不明かを示せれば十分です。答えが得られない部分は相談時の確認事項に残します。

出典:厚生労働省「年休の付与単位・年休権の消滅」

一律の拒否と時季変更を、会社の具体的な説明で見分ける

会社の担当者と、業務の繁閑や人員配置、代替の調整状況を確認する場面。

忙しいという一言だけで、変更の適否を決めない

会社が希望日を変えることができるのは、その日に年休を与えると事業の正常な運営を妨げる場合です。これを時季変更権といいます。「会社が忙しいと感じたらいつでも断れる」という制度ではありません。一方、希望した日なら事情にかかわらず必ず取得できる、とも言い切れないため、具体的な説明を確認します。

判断に当たっては、事業場の規模、業務の内容や繁閑、本人の担当作業、代わりの人を配置できるか、同じ時期に休む人の状況などが考慮されます。人数の少ない会社である、繁忙月である、といった一つの特徴だけで結論が決まるわけではありません。その日のその職場で、何が支障になるという説明なのかを読み取ります。

「今は人手不足だから全員だめ」とだけ言われたケースでは、具体的な業務や期間、代替の検討状況が分かりません。「今回申し出た○日のどの業務に支障があるということでしょうか」と確かめる余地があります。恒常的な人手不足の話と、希望日にどうしても生じる支障の話を区別して聞いてください。

会社が「その日は二つの担当工程が同時に動き、資格を持つ代替者の配置も難しい」と説明したケースでは、前の例より事情が具体的です。ただし、説明が詳しいことだけで時季変更が適法と確定するわけではありません。実際の配置、業務の変更可能性、ほかの対応の検討などを踏まえて個別に確認する必要があります。

出典:広島県「忙しいことを理由に有給休暇の取得を拒否された」

代替の手配や業務の調整について、分かる範囲を確認する

会社には、希望した時期に年休を取れるよう、状況に応じた配慮が求められます。代わりの人を置けるのに、休暇の目的だけを見て検討しないような対応も問題になります。自分だけで職場全体の人員計画を調べ上げる必要はありませんが、会社が何を調整し、何が難しいとしているかは確認の対象です。

本人が伝えられる情報としては、担当業務の締切、途中まで終えた部分、資料の保存場所、他の人が扱える範囲などがあります。ただし、代替者を自分で確保したり、すべての業務を完了したりすることが、年休取得の一律の法的条件になるわけではありません。人員配置の責任まで当然に本人へ移るものではない点を押さえましょう。

同じ日に休む人が多いと説明されたときも、他の社員の私生活や休暇理由を聞き出す必要はありません。自分の申出に対して、どの担当や時間帯が不足するのかを会社へ尋ねます。個人の事情を比較して「自分の方が重要だから優先」と決めるより、業務への影響を説明してもらう方が、確認すべき論点が明確になります。

会社が別の日を提案したら、その日なら業務上の問題が解消するという説明なのか、自分にも変更が可能なのかを確かめます。時季変更の話をしただけで、会社がいつでも自由に取得日を決められるわけではありません。日程を変えてもよい場合は新しい希望日を明確にし、難しい場合はその旨を伝えて確認を続けます。

休暇の使い道と、業務上の支障を別に考える

年休を何に使うかは原則として本人の自由です。「旅行ならだめ」「家で休むだけなら出勤して」と、利用目的の価値を会社が決めて取得を拒むことはできません。会社から理由を聞かれたときは、業務調整に必要な質問なのか、年休の使い道だけを理由に拒否しているのかを分けて考えてください。

社内の申請欄に理由の入力が必要な場合でも、取得のために架空の病気や家庭事情を作ることは勧められません。「私用」など実際の事情に反しない記載で足りるかを確認し、さらに詳しい説明を求められたら、何の手続きのために必要なのかを尋ねられます。別の特別休暇の証明書類の話が混ざっていないかも確認しましょう。

休暇の目的が自由であることと、申出の時期や方法を一切問わないことは同じではありません。急な申出や長い連続休暇では、会社が状況を把握して調整する余地が変わります。理由の詳細をすべて開示する必要があると決めつけず、いつ、何日休むのか、日程変更が可能かなど、今回の確認に関係する情報を中心に伝えます。

長い連続休暇と当日の申出は、経過も含めて確認する

長期間の連続した年休については、事前の調整の有無が問題になることがあります。長いというだけで一律に取得できないわけではありませんが、一日だけの申出と同じ前提で時季変更の判断をすることもできません。希望期間、担当している仕事の区切り、いつ会社へ伝えたかをセットで整理しましょう。

たとえば数週間の休暇を希望する場合、期間全体が難しいという回答なのか、一部の日程が業務と重なるという回答なのかを確認します。どの部分の変更を求めているのかが分かれば、自分が検討できる範囲も明確になります。残日数があることだけで調整の問題が全部解決したと扱わず、会社の説明を限定して聞いてください。

当日に年休を申し出た場合は、就業規則上の手続き、連絡した時刻、相手、勤務開始時刻との関係、急に申し出ることになった事情なども確認します。事前申出と同じ扱いになると一律に断定できません。既に欠勤した日を後から年休へ変更したい場合も、当日の時季指定とは別に会社の取扱いを確かめる必要があります。

この章で挙げた条件は、本人が適法・違法を即断するための採点表ではありません。会社が示した具体的な事情と、不明な点を明らかにするための観点です。希望日が迫り、自分だけでは判断できない場合は、会社への確認と併せて、申出の経過を労働相談窓口へ伝えてください。

出典:厚生労働省「時季変更権・長期休暇・当日の申出に関する説明」

希望日と業務状況を伝え、回答を記録に残す

有給休暇の希望日、引き渡す業務、会社からの返答を三枚のメモに整理する場面。

就業規則の申出方法と、実際の受付先を確かめる

会社への連絡では、就業規則や社内案内にある申出の方法を確認します。指定のシステムを使うのか、上司へ連絡するのか、人事にも伝えるのかを把握すると、伝達の行き違いを減らせます。これは会社の許可を年休の成立条件にするためではなく、自分が指定した日を会社へ明確に伝えるための実務です。

システムが使えない、上司が不在、異動したため提出先が古いままという場合は、人事などに代替の連絡方法を尋ねます。使えない画面だけを何度も操作して希望日を迎えるより、どの操作で止まったかと希望日を伝える方が確認が進みます。提出し直したときは、元の申出と新しい連絡の関係が分かるようにします。

職場に「何日前まで」という手続きがある場合は、その定めと実際に申し出た時期を確かめます。ただし、社内の手続きが書かれていることだけで、すべての遅い申出を一律に年休の対象外にできると結論づけないでください。急な事情があった場合などは、その経過も含めて扱いを確認する必要があります。

最初の申出、理由確認、再調整で文面を使い分ける

最初の申出では、日付、日数、年次有給休暇を取得する意思が分かれば、中心となる用件は伝わります。「休んでもよいでしょうか」という相談だけでは、会社がまだ日程の候補だと受け止める場合があります。確定した希望日なのか、複数候補の相談なのかを分けて書くことが大切です。

希望日を伝える一般例

○月○日に、年次有給休暇を一日取得します。担当中の○○は前日までに状況を共有します。申出は本日、指定のシステムにも入力しました。業務上の調整について確認が必要な点があれば、ご連絡ください。

この文面の業務共有は、自分が実際にできる内容だけを書きます。「全部終わらせる」「休暇中も常に対応する」といった無理な約束を追加する必要はありません。連続休暇や半日・時間単位の場合は、自分の職場で利用する制度に合わせて希望範囲を正確に記し、日数と時間数の取り違えを防ぎます。

断られた理由を確かめる一般例

○月○日の年休について、日程を変更してほしいとのご説明を受けました。どの業務に、どのような支障があるためかを確認させてください。今回の日程についての時季変更のお話か、年休自体を利用できないというご説明かも、併せて確認したいです。

会社が明確に変更を求めていないなら、例文をそのまま使って時季変更があったと決めつけないでください。「申請画面が保留になっていますが、現在どのような確認中でしょうか」と、分かっている事実から尋ねます。相手の返答を自分の言葉で要約する場合も、もともとの発言を残しておくと確認しやすくなります。

日程を再調整する場合の一般例

先ほどご説明いただいた○○の事情を踏まえ、私としては○月△日なら変更を検討できます。元の希望日から変更する対象は一日分です。新しい日付での申出方法と、元の申出の記録の扱いを確認させてください。

日程を変える意思がない段階で、再調整の例文を送る必要はありません。「事情を聞いている段階」と「新しい日を指定する段階」を分けます。候補を示しただけなのに申請全体が取り消されたり、連続休暇の一部の調整なのに全日数が変更されたりしていないか、対象範囲を確認してください。

引継ぎの情報は、休暇の許可と交換する条件にしない

業務状況の共有では、作業名、締切、現在の進み具合、次に必要な対応を簡潔に示します。引き受け手がまだ決まっていなければ、「担当者未定」と書いて上司へ判断を求めます。本人が代替者を見つけるまで年休を取れないという前提にせず、会社が配置を検討できる情報を渡すことを目的にしましょう。

たとえば、締切が休暇の翌日にある資料なら、どこまで作成済みで、誰の確認が残っているかを伝えます。本人の作業が終わっていても上司の決裁待ちなら、その状態を具体的に示せます。単に「引継ぎ済み」と書くより、何をどこへ渡し、何がまだ決まっていないかを分ける方が、業務上の不安を整理しやすくなります。

引継ぎを行うこと自体は実務上役立ちますが、完了が年休取得の法的な成立要件になるわけではありません。会社が「すべて片付くまで休めない」と繰り返す場合には、残っている作業と、時季変更の根拠として述べている事情を分けて確認します。際限のない条件を自分で追加して申出を取り下げる必要はありません。

業務の整理方法そのものが必要な人は、引き継ぎ資料の作り方を参考にしてください。今回の申出に添えるメモでは、長い業務マニュアルを完成させることより、休暇中に問題になりそうな点を会社が判断できる形にすることを優先します。

返事がないまま希望日が近づいたら、確認先を広げる

返事が止まっている場合は、元の申出日時、希望日、未回答の点を示して人事や指定の窓口へ確認します。「上司が許可しない限り権利がない」と考える必要はありませんが、会社の意向が不明なまま当日の勤怠処理だけが進むと争いになることがあります。会社が時季変更を主張しているのかどうかも含め、早めに確認してください。

本人の取得権や適法な時季変更の有無は、返信の有無だけで一律に決められません。相手の返事がないから自動的に欠勤になるとも、どんな場合でも連絡せず休んで問題ないとも言い切れません。希望日が迫って判断に迷うなら、申出内容と会社の対応をそのまま相談窓口へ伝え、個別の事情を確認しましょう。

話合いで日程が整理できたら、取得する日、日数、元の申出の扱い、業務上の引渡し先を確認します。新しい記録だけを残して以前の申出を消すより、変更した経緯が分かる状態を保つと、残日数や勤怠処理の誤りが見つかった際にも照合できます。実際に休んだ後は、休暇区分が意図どおり登録されたかを確認します。

退職前・パート・年5日の取得義務で混同しやすい点を整理する

在職を続ける人、退職予定の人、短時間勤務の人の確認事項を分けた図。

退職前は、退職日までの労働日と希望日を具体的に示す

退職前に取得を希望する場合も、まず残日数と希望する日を確認します。退職後は年休を取得する日を設定できないため、会社が「退職後に回してほしい」と説明しても、そのまま同じ会社の年休として使えるわけではありません。退職日と最終出社日を混ぜず、在籍中のどの日を指定したのかを明確にします。

退職までに変更できる日がない場合、会社は退職後へ時季変更することはできません。引継ぎを理由に退職日の延期を提案されたとしても、延期に応じるかは本人の判断です。残りの日数が多くて日程を決めにくい場合は、会社の休日を除いた労働日と、既に指定した取得日を並べて確認してください。

退職前の全体の段取りは、退職前の手続きと有給の確認で整理しています。ここで扱うのは、取得の申出に対し、会社が何を理由に応じていないのかという点です。退職を申し出たことだけで、残っている年休を使う権利が直ちになくなると受け止めないようにしましょう。

出典:厚生労働省「退職と年休権の消滅」

パートやシフト制では、勤務予定と年休の申出を合わせて読む

シフト制では、希望日に働く予定なのか、もともと休みなのかを確認します。労働義務のない日に年休を取ることはできませんが、その説明を使って本来の取得希望を単なるシフトの休み希望へ変えていないかにも注意が必要です。自分が求めたのが年休なのか、勤務日を割り当てない希望なのかを明示しましょう。

勤務表がまだ決まっていない段階で年休を希望する場合は、会社のシフト作成時期と申出方法を確認します。労働日がいつ決まるのか、契約上は何日働く定めなのかによって、整理する資料が変わります。「未確定だからいつでも年休は使えない」と一括で処理された場合は、契約と過去の運用も含めて相談してください。

既に勤務日として示されていた日が、年休を申し出た後に休日へ変更された場合は、変更前後の勤務表と説明を残します。直ちに違法と断定するのではなく、誰が、いつ、何を理由に変更したのかを確かめます。本人が希望した日程変更なのか、会社側の変更なのかで、確認すべき経過が異なります。

「週に数日しか働いていないので、休むなら勤務日を減らせばよい」と言われた場合も、年休を使って賃金を受けながら休むことと、勤務予定を減らすことの違いを確認します。どちらを希望しているのかを伝え、勤務時間や賃金の記録も照合できるようにしましょう。付与日数の対象判定は前の章で確認した条件に戻って判断します。

年5日は、取得できる日数の上限ではない

年10日以上の年休が付与される労働者について、会社には、基準日から1年以内に5日の年休取得を確保する義務があります。これは「年休は5日だけ使えば終わり」「5日を超える申出は拒める」という意味ではありません。本人が使える残日数と、会社に課される取得確保の義務は別に考えます。

この対象は正社員だけではなく、年10日以上付与されるパートなども含みます。一方、前年からの繰越を足した残日数が10日以上あるというだけで、同じ対象になると考えないようにします。新たに付与される日数と基準日が分かれば、自分がどの期間の取得確保の対象なのかを会社へ確認できます。

本人が自分で取得した日や計画年休で取得した日は、この5日に算入されます。その分について、会社が重ねて5日を指定する必要はありません。半日取得は算入できますが、時間単位の年休は5日の取得義務の算定には入りません。「何時間か休んだから5日分を終えた」という計算にしていないか確認してください。

会社が5日の取得確保のために時季を指定する際には、本人の意見を聞き、その意見を尊重するよう努める必要があります。単に会社が指定日を掲示したという事実だけで、自分の希望を伝える機会がないと考えないでください。会社指定の趣旨と対象期間を確認したうえで、希望や都合を具体的に伝えましょう。

出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」

計画年休と、会社による5日の時季指定を分ける

計画年休は、労使協定に基づき、年休のうち5日を超える部分について取得時季を決める制度です。会社による年5日の取得確保のための時季指定とは、根拠や対象となる範囲が異なります。「会社が決めた休み」という共通点だけで、両者を一つの制度として理解しないことが大切です。

※表は横スクロールできます。

仕組み 主な確認点 間違えやすい理解
本人が日を指定する年休 残日数・希望日・会社の具体的な説明 会社が自由に許可・不許可を決める制度と思い込む
年5日の取得確保のための時季指定 年10日以上の付与・基準日・既に取った日・意見聴取 5日が本人の取得上限だと思い込む
労使協定に基づく計画年休 協定・対象日・5日を超える部分 すべての年休を一律に会社が決められると思い込む

会社のカレンダーに一斉休暇の日がある場合は、その日が所定休日なのか、計画年休なのか、別の特別休暇なのかを確かめます。名前が「夏休み」でも、年休残数から差し引く仕組みかどうかは同じではありません。自分の残数にどう反映されるのかを知ると、今回の申出に使える日数を確認しやすくなります。

計画年休が設定されている職場で、別の日にも休みたい場合は、対象となっている日と残数、本人が指定できる分を確認します。「会社で休暇日を決めたので、それ以外は一切年休を使えない」という説明なら、その根拠と内訳を確かめましょう。制度があること自体を、年休全体の自由な取得を失う理由にしないようにします。

出典:厚生労働省「計画年休制度・使用者の年休付与義務」

拒否が続くときは、資料と希望を整理して相談する

有給休暇の申請記録と会社の回答を持参し、相談窓口で経過を説明する場面。

申出と返答の経過を、一枚で説明できるようにする

社内で確認しても話が進まない場合は、外部の労働相談窓口を利用できます。相談のために、立派な報告書を作る必要はありません。今回の希望日、申し出た日、相手、会社の返答、現在の残日数について分かることを一枚にまとめると、相談員が何を先に確認すべきかを把握しやすくなります。

経過の中には、「会社が明確に断った」「別の日を提案した」「回答がない」を区別して書きます。会社が使った言葉と、本人が理解した意味も分けてください。たとえば「取らせないと言われた」という要約だけでなく、実際には「今月は難しい」と言われたのかなどが、相談で確認する材料になります。

資料は、就業規則の休暇部分、付与日と残数が分かる記録、申出の控え、会社の返答、勤務予定表などが候補です。全部が必要とは限らないため、窓口の案内に従って準備します。資料が多い場合は、今回の申出に関係するものと、以前の経過を示す補足資料を分けると説明が短くなります。

※表は横スクロールできます。

相談メモの欄 書く内容 不明なときの残し方
取得したい日 日付、日数、取得単位、勤務予定 シフト未確定などの状態を書く
年休の記録 付与日、残数、期限、既に取った日 会社へ照会中の項目を明記
会社への申出 日時、方法、受付先、伝えた内容 口頭の記憶ならその旨を添える
会社の回答 発言内容、返答日、理由、代替日 返答がないことも事実として書く
希望する解決 今回の取得、残数訂正、今後の申出方法など 判断に必要な助言を受けたいと書く

資料を残す際は、自分の申出や勤務に必要な範囲に絞り、他の社員の私生活、顧客情報、関係のない社内秘密を持ち出さないようにします。自分で入手できない資料がある場合には、名称や確認したい内容をメモして相談してください。証拠をそろえるために権限のないシステムへ入る必要はありません。

法違反の疑いと、職場での紛争解決の相談を分ける

法定の要件を満たすのに年休が付与されない、取得を一律に認めないなど、労働基準法違反が疑われる問題については労働基準監督署に相談できます。まず会社の説明と自分の記録を示し、何が問題になるかを確認します。窓口へ連絡しただけで直ちに会社が希望日を認める、と結果を見込まないようにしてください。

取得をめぐって上司との対立が続く、どの制度を使って話し合えばよいか分からないといった場合には、総合労働相談コーナーも入口になります。労働問題の相談や情報提供を行い、助言・指導、あっせんなどの制度を案内しています。法違反の疑いがあれば、担当部署へ取り次がれることもあります。

同じ職場の問題でも、会社に求めたいことが、今回の年休取得なのか、残数の訂正なのか、今後の申出方法の明確化なのかで、相談の重点は変わります。初めに一番困っていることを伝え、ほかにも問題がある場合は分けて補足します。「とにかく会社を罰してほしい」だけでは、本人が必要とする解決が伝わりにくくなることがあります。

窓口の相談、行政の対応、当事者間の話合い、裁判などの法的手続きは、それぞれ役割が異なります。会社の説明が正しいか確認したい段階なのか、具体的な権利救済や代理を相談したい段階なのかを示し、必要に応じて弁護士などへの相談も検討しましょう。利用条件や費用がある場合は、申し込む前に確認します。

出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

減給や評価の話が出たら、年休の拒否とは別に記録する

年休を取得したことを理由とする不利益な取扱いをしないよう、労働基準法第136条に定めがあります。「休むなら評価を下げる」「取得した日は欠勤として扱う」といった説明があれば、その発言の日時、相手、内容を残します。具体的な取扱いの効力などは事情によるため、発言と実際の処理を分けて相談してください。

給与が減っていた場合は、年休の日の賃金が計上されていないのか、別の欠勤控除なのか、手当の条件が問題なのかを明細で確認します。年休取得後に金額が変わったという順序だけで、原因まで確定しないようにします。会社がどの項目を、どの根拠で計算したと説明しているかを尋ねると、相談すべき点が絞れます。

人事評価が下がった場合も、評価の対象期間、説明された理由、年休との関係が分かる発言や文書を残します。記録を作るために相手を誘導したり、発言を実際より強く言い換えたりする必要はありません。年休を申し出た経過と、評価について説明された経過を別々に並べると、関連があるか検討しやすくなります。

出典:広島県「年次有給休暇取得に関する不利益取扱い」

資料がそろっていなくても、急ぎの予定を伝える

希望日が明日や数日後に迫っているなら、資料をすべて集め終えてから相談しようと待たないでください。連絡時に、希望日、申出日、会社が示したこと、まだ分からない点を伝えます。会社へ何を確認すべきか、どの記録を準備すべきかという段階でも相談できます。

相談の際は、本人の希望日と、会社が回答すると述べた日を分けて示します。返答を待つ間に古い年休の期限が来る、退職日が来るなどの事情があれば、それも具体的な日付で伝えましょう。期限が近いことによって、すべての希望が必ず実現するわけではありませんが、確認の優先順位を決める重要な情報になります。

助言を受けた後は、会社に次に伝える内容、回答を待つ点、勤怠記録で後から確認する点を分けておきます。希望日に取得できた場合でも、年休残数が二重に減っていないか、欠勤扱いになっていないかを確認すれば、申出から処理までの行き違いを見つけられます。会社とのやり取りが続く場合は、経過を更新して再度相談してください。

有給休暇を取れないと感じたら、希望日を伝えた事実、使える残日数、会社が示した理由を確認するところから始めましょう。承認待ちという表示や、引継ぎが終わらないという一言を、そのまま権利がない根拠にしないことが大切です。具体的な事情と記録をそろえ、自分だけで判断できない点を相談につなげてください。